レンプクソウ Adoxa moschatellina  L.
  里山・林床の植物 
 兵庫県RDB Bランク種
レンプクソウ科 レンプクソウ属
Fig.1 (兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.4/6)
低山〜山地、里山の林縁や明るい林床に生育する多年草。
根茎はやや肥厚し、細長い地下茎を横走し、群生することが多い。
全体細くてやわらかく、無毛、茎は高さ8〜15cm。根生葉は2回3出複葉で、小葉は羽状に中裂し、羽片は鈍頭または鋭頭。
茎葉は1対で、短い柄があり、3裂する。
花は黄緑色、ごく短い柄を持ち、5個が頭状に集まり。径4〜6mm、頂生の花は萼が2裂、花冠が4裂し、8個の雄蕊がある。
まわりの4個の花は、萼は3裂、花冠が5〜6裂して、10または12個の雄蕊がある。花柱は3〜5裂する。
1科1属1種で、スイカズラ科のニワトコ属に近いとされる。
近縁種 : 

■分布:北海道、本州(近畿地方以東) ・ 北半球の温帯域
■生育環境:低山〜山地、里山の林縁や明るい林床など。
■花期:3〜4月

Fig.2 根生葉。(兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.4/6)
  根生葉は2回3出複葉で、小葉は羽状に中裂し、羽片は鈍頭または鋭頭、無毛で、やわらかい。

Fig.3 小葉の拡大。(兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.4/6)
  羽片の先は微突端となっている。

Fig.4 茎には1対の葉がつく。(兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.4/6)
  茎葉は3裂し、短い柄がある。ふつう1対が対生してつくが、1枚しか見られないこともある。

Fig.5 つぼみの頃。(兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.3/29)

Fig.6 開花しはじめた花。(兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.4/6)
  花は茎頂に頭状に集まって5個つく。画像のものは頂生する1花は開花しているが、まわりの4花はまだつぼみの状態である。

Fig.7 頂生する花。(兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.4/29)
  頂生の花は萼が2裂、花冠が4裂し、8個の雄蕊がある。花柱は4個見えている。稀に5数性のものもある。

Fig.8 側生する花。(兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.4/29)
  まわりの4個の花は、萼は3裂、花冠が5〜6裂して、10または12個の雄蕊がある。画像のものは花冠は5裂、雄蕊10個で、花柱は5個ある。

Fig.9 訪花したアリ。(兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.4/29)
  レンプクソウの花にアリが蜜か花粉を漁りに来ていた。受粉に役立っているかどうかは不明である。

Fig.10 花後の花茎。(兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.4/29)
  花後に花茎は細長く伸びて倒伏し、花柄も少し伸びる。

生育環境と生態
Fig.11 林縁で生育するレンプクソウ。(兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.4/29)
台風で枯れたクリが残された放棄された栗園の林縁で群生しており、同所的にはヤマネコノメソウ、ヤブヘビイチゴ、ヤブジラミ、
ヤマエンゴサク(広義)、オオタチツボスミレ、ムラサキケマン、ヨシノアザミ、シシウドなどが生育していた。

Fig.12 放棄された栗園の林床でアズマイチゲとともに群生するレンプクソウ。(兵庫県丹波地方・放棄された栗園 2011.3/29)
アズマイチゲの開花期では、レンプクソウはまだつぼみの状態であった。アズマイチゲの開花が終わると、レンプクソウが開花する。
周辺にはヤブサンザシ、ヤマエンゴサク(広義)、アマナ、オドリコソウ、ヤマネコノメソウ、ダイコンソウ、ミズヒキ、シシウド、ハナウド、
イチリンソウ、ヤブヘビイチゴなどが生育している。


最終更新日:3rd.May.2011

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