サンカヨウ Diphylleia grayi  Fr. Schm.
  山地・林床の植物 メギ科 サンカヨウ属
Fig.1 (兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)

Fig.2 (兵庫県香美町・谷筋斜面 2015.4/30)

温帯〜亜寒帯域の山地の林床に生育する多年草。
地下茎は太く、横にはい、多くのひげ根を出し、地上部は高さ30〜60cmとなる。
茎や葉には縮れた毛が生え、茎葉はふつう2個あって互生し、下方の葉は腎円形、長さ20〜30cm、幅30〜35cm、
不ぞろいな欠刻状の鋸歯があり、上端と基部は湾入し、長い葉柄に楯状につく。
上方の葉は下方の葉と形は似るが、小さく、ほとんど無柄で、湾入した基部で茎につき、楯状とならない。
花序は茎に頂生し、3〜10個の花を集散状につける。
花は白色、径約2cm。外萼片は6個、緑色小型で早落性、内萼片は6個、白色で花弁状。蜜腺を持った花弁はない。
雄蕊は6個、葯は外向し、弁開する。液果は楕円形、長さ10〜13mm、藍色で粉白を帯びる。


■分布:北海道、本州 ・ 樺太
■生育環境:温帯〜亜寒帯域の山地の林床など。
■花期:5〜7月

Fig.3 葉。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  ふつう2個の葉が互生してつく。下方の葉は腎円形、上端と基部は湾入し、長い葉柄に楯状につく。
  上方の葉は下方の葉と形は似るが小さく、ほとんど無柄で、湾入した基部で茎につき、楯状とならない。

Fig.4 葉表の拡大。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  葉脈は凹み、脈上や葉縁には縮れた毛が生えていた。

Fig.5 花序。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  花序は茎に頂生し、3〜10個の花を集散状につける。

Fig.6 サンカヨウの花。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  花には蜜腺を持った花弁はなく、6個の外萼片と内萼片があり、外萼片は早落性で、花弁状で白色の内萼片が開く。
  雄蕊は6個、葯は外向し、弁開する。雌蕊は1個、柱頭は3岐している。

Fig.7 花後間もない果実形成期の花序。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)

Fig.8 葉の中央付近で休むシュレーゲルアオガエル。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  楯状に柄のついた葉表部分は窪むためか、休むにも安定して具合がよいのだろう。

生育環境と生態
Fig.9 やや高標高地の植林地の林床に小群生するサンカヨウ。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
ブナ帯付近にある木洩れ日の入る植林地の林床に小群落がてんざいしている。
周辺にはニリンソウが群生し、サカゲイノデ、モミジガサ、トチバニンジン、ミヤマカタバミ、ウワバミソウ、ミヤマジュズスゲ、ヒカゲミツバ、
ユキザサ、エンレイソウ、ホウチャクソウなどが生育している。

Fig.10 湿った谷筋斜面に生育するサンカヨウ。(兵庫県香美町・谷筋斜面 2015.4/30)
蘚苔類が繁茂する北向きの谷筋の急な斜面にサンカヨウが点在していた。
斜面にはジュウモンジシダ、リョウメンシダ、イノデ、サカゲイノデ、ネコノメソウ、サンインネコノメ、萌芽したクサアジサイや
ギンバイソウなどが生育していた。


最終更新日:30th.Jul.2016

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