ササユリ Lilium japonicum  Thumb.
  里山・草地・林縁の植物 ユリ科 ユリ属
Fig.1 (西宮市・溜池土堤の林縁 2007.6/16)

Fig.2 (西宮市・林縁の土手 2013.6/12)

丘陵〜低山の草地、林縁、落葉広葉樹の疎林に生育する多年草。
鱗茎は卵形、白色で径2〜4cm、苦味はない。
茎は高さ50〜100cm。葉はまばらに互生してつき、披針形、長さ8〜15cm、明瞭な柄がある。
花は茎頂に数個、横向きに開く。花被は白色で淡紅色を帯び、漏斗形。
花被片は6個で倒披針形、長さ10〜15cm、内片が幅広く、先はやや反り返る。
花粉は赤褐色。刮ハは倒卵形で長さ3〜4cm。

【メモ】 本種はかつては西宮市内の近郊の丘陵や低山の草地や林縁で比較的普通に見られたが、雑木林の管理放棄、自生地の開発、
     さらには花が美しいことから盗掘に遭い、いまでは近郊の低山の険しい岩壁を除いてほとんど見られなくなってしまった。
     ササユリはユリの仲間でも栽培は難しく、山野から掘り取ってくることは避けたいものである。
近縁種 : テッポウユリ、タカサゴユリ、シンテッポウユリ

■分布:本州(中部以西)、四国、九州
■生育環境:里山の林縁、落葉広葉樹の疎林内など。
■花期:6〜7月

Fig.3 茎と葉。(兵庫県篠山市・林縁草地 2010.6/30)
  茎は細くて硬く、まばらに葉を互生する。葉は葉柄があり、披針形。

Fig.4 開花期のササユリ。(兵庫県篠山市・林縁草地 2010.6/30)
  花は1〜少数が茎頂につき、花は横向きに咲く。

Fig.5 花被。(兵庫県篠山市・林縁草地 2010.6/30)
  花被は淡紅色を帯びた白色。淡紅色を帯びる度合いには変異がある。
  花被片6個で、やや反り返り、内花被片は外花被片よりも幅が広い。
  雄蕊6個は雌蕊よりも短く、花粉は赤褐色。柱頭は白色。

Fig.6 結実した刮ハ。(兵庫県神戸市・棚田の土手 2013.11/16)
  刮ハは倒卵形、6稜がある。

Fig.7 割れた刮ハと種子。(西宮市・溜池土堤 2007.2/14)
  刮ハは熟すと黒褐色となり、3裂する。種子は扁3角状扁平で、縁には翼が発達し、5〜7mm。

Fig.8 つぼみを上げたササユリ。(兵庫県丹波市・果樹園の草地 2011.5/25)
  花茎は湾曲気味に伸び、横向きのつぼみを付ける。

生育環境と生態
Fig.9 林縁土手の草地に生育するササユリ。(西宮市・林縁草地 2010.6/28)
里山の畑地と雑木林を分ける草刈りの行き届いた土手草地にササユリが点在していた。
土手は刈り込まれたネザサを主体とし、ヤブカンゾウ、ホタルブクロ、ダイコンソウ、ミズヒキ、ナワシロイチゴ、ヤマノイモ、
アケビ、ワレモコウなどが生育していた。

Fig.10 雑木林の伐採後の林縁草地に生育するササユリ。(兵庫県篠山市・林縁草地 2010.6/30)
伐採後の雑木林林縁に数株生育していた。
ここでは伐採後によく出現するワラビ、ナガバモミジイチゴ、イヌザンショウ、ススキ、オカトラノオ、ナツフジ、ヘクソカズラなどとともに見られた。


最終更新日:2nd.Aug.2014

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