セントウソウ Chamaele decumbens  (Thunb.) Makino
  里山・草地・林縁の植物 セリ科 セントウソウ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・河原 2008.4/13)

Fig.2 (兵庫県篠山市・渓流畔 2012.4/29)

林縁や草地などに生育する小型の多年草。
基部から数本の細長く、軟弱な茎を出し、高さ10〜30cm、無毛。
葉は根生し、長さ2.5〜10cm、1〜3回3出複葉で、小葉は卵形、3角形など、切れ込み方も様々。
葉柄は長くふつう紫色を帯び、基部は鞘となって互いに抱く。
花は白色。複散形花序の大花柄は3〜5個、長さは不同長。小散形花序は5〜10個の花をつける。
果実は長楕円形で長さ4〜5mm。分果の断面はほぼ5角形で、油管はない。

【メモ】 セントウソウは食べることができ、生だとイタリアンパセリとコリアンダーの中間のような味がする。
     しかし、シカやイノシシなどの多い場所に生育しているものは生食は薦められない。おひたしや粥に入れると旨い。
     冬場の小さな株は、野生のセリなどとともにテンプラにするとひと足先に春を味わえる。
     ただし、毒草であるムラサキケマンの幼苗とやや似ているので、知識がない方には薦められない。
■分布:北海道、本州、四国、九州
■生育環境:里山の林縁や草地。
■花期:4〜5月

Fig.3 花序。(兵庫県篠山市・農地の土手 2010.4/18)
  大散形花序の大花柄には長短があり、その先に小散形花序をつける。

Fig.4 セントウソウの花。(兵庫県篠山市・林道脇 2009.4/17)
  花は白色。小散形花序の花柄の先につく。花弁は5個で、先端は少し内側に曲がる。雄蕊5個。子房下位。
  花柱2個は果実が熟すにつれて外曲する。

Fig.5 葉。(兵庫県篠山市・農地の土手 2010.4/18)
  葉柄は長く、葉は根生し、1〜3回3出複葉(画像は2回3出)。小葉の切れ込み方や幅には変異がある。

Fig.6 越冬態。(兵庫県三田市・林道脇 2011.1/13)
  常緑越冬する。厳冬期に出た葉は小さい。

Fig.7 草体の基部。(兵庫県三田市・林道脇 2011.1/13)
  葉柄の基部は広がって鞘状となり、半ば基部を包む。

生育環境と生態
Fig.8 クリ園の林床に群生するセントウソウ。(兵庫県篠山市・果樹園の草地 2010.4/18)
クリ園の林床にニリンソウ、キンキエンゴサク、カキドオシ、タチツボスミレ、カテンソウなどとともに群生している。

Fig.9 用水路脇の土手に生育するセントウソウ。(兵庫県篠山市・農地の土手 2010.4/18)
管理の行き届いた草地の用水路脇に生育していた。ミミナグサ、コモチマンネングサ、ドクダミ、キクムグラ、ヤブカンゾウが見える。

Fig.10 社寺境内の半日陰で大株となったセントウソウ。(兵庫県丹波市・社寺境内 2010.5/8)
社寺境内に多くの個体が生育している。手前の丸い葉はアオイスミレ。他にキランソウ、ヤブタビラコ、オドリコソウ、ヤブニンジン、ヤエムグラ、
ムラサキケマンなどが見られた。


最終更新日:4th.Apr.2013

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