ジュウモンジシダ Polystichum tripteron  (Kunze) Presl
  里山・林下・渓流のシダ オシダ科 イノデ属
Fig.1 (兵庫県丹波市・渓流畔 2010.6/3)
低山〜山地の湿った林床、渓流畔などに生育する夏緑性または常緑性(暖地)シダ。
根茎はやや大きく、斜上して、葉を束生する。
葉は長さ50cm以上になり、草質で、やや硬く、光沢はない。葉柄は葉身よりやや短い。
葉柄基部の鱗片は淡褐色〜褐色、卵状長楕円形、長さ1cm以上となる。
葉身は1回羽状複葉だが、最下羽片だけは大きく、さらに羽状に分裂し、葉は十字形の3出羽状に見える。
羽片はやや鎌状に曲がった3角状披針形、鋭尖頭、縁は鋭鋸歯があり、基部はくさび形、ほぼ無柄、上部の羽片は小型となる。
胞子嚢群(ソーラス)は小さい点状で、苞膜は円形で、早落性。
近縁種 : 

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国(東部)、シベリア
■生育環境:低山〜山地の湿った林床、渓流畔など。

Fig.2 葉。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.2/10)
  葉は草質、やや硬く、光沢はない。最下羽片は羽状に裂け、十字形の3出羽状に見える。
  十字状となるものはオシダ科の他種にはなく、非常に解りやすいシダである。

Fig.3 十字形となる葉身基部。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.2/10)

Fig.4 羽片の裏面。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.2/10)
  胞子嚢群は点状、苞膜は早落性。

Fig.5 春の萌芽。(兵庫県篠山市・農道脇 2011.4/21)

生育環境と生態
Fig.6 渓流畔の岩上に生育するジュウモンジシダ。(西宮市・渓流畔 2009.12/1)
県中部ではごく普通に見られるジュウモンジシダだが、西宮市内では比較的自生地は少ない。
この谷にはかなりの個体数が生育しており、ここでは腐植土の堆積した渓流畔の岩上に生育している。
岩上には同所的にクサアジサイ、ヤマイバラ、キヨスミギボウシ、ナキリスゲが見られ、岩の壁面にはイワタバコが着生していた。

Fig.7 植林地の林床に生育するジュウモンジシダ。(兵庫県篠山市・植林地 2013.5/9)
植林地内の細流脇の多湿な場所にジュウモンジシダが多数生育していた。
周辺には同様な環境を好むモミジガサ、ミカエリソウ、チャルメルソウ、サワハコベ、ミヤマカタバミ、ウマノミツバ、、ツルカノコソウ、
アキチョウジ、シケチシダ、リョウメンシダ、イワガネゼンマイ、サカゲイノデなどが生育している。


最終更新日:9th.Mar.2014

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