シバスゲ Carex nervata  Franch. et Sav.
  里山・草地の植物 カヤツリグサ科 スゲ属 ヌカスゲ節
Fig.1 (西宮市・棚田の畦 2010.4/23)
丘陵〜低山の草地に生育する多年草。
根茎は短く、横に這うが、匐枝を出して疎生する。基部の鞘は淡褐色で、繊維に分解する。
葉は幅2〜3mm。葉に比べて有花茎は著しく高く、高さ10〜30cm。
小穂はすべて茎の上部にあつまり、苞の葉身は短く刺状。雄小穂は黄褐色で棍棒状、直下の雌小穂より長く、長さ10〜15mm。
雌小穂は2〜3個側生し、長さ7〜12mm、幅約4mm。雌鱗片に芒はない。
果胞は鱗片より長く、長さ2〜2.5mm、脈が目立ち、有毛。柱頭は3岐する。
近縁種 : チャシバスゲ

■分布:北海道、本州、四国、九州、対馬 ・ 朝鮮半島、中国
■生育環境:里山や草地など。
■果実期:4〜5月

Fig.2 全草標本。(西宮市・棚田の畦 2010.4/23)
  葉に比べて花茎は高くなる。この個体はシバ地に生育していたので、草丈は低い。
  草むらに生育するものは花茎が30cm前後となる。

Fig.3 地下に匐枝をのばして疎生する。(兵庫県篠山市・棚田の畦 2010.4/28)

Fig.4 基部。(西宮市・棚田の畦 2010.4/23)
  基部の鞘は淡褐色、繊維状に分解する。

Fig.5 花序。(西宮市・棚田の畦 2010.4/23)
  頂小穂は雄性。側小穂は雌性で2〜3個つく。

Fig.6 小穂。(西宮市・棚田の畦 2010.4/23)
  雄小穂は棍棒状、黄褐色。雌小穂の果胞は鱗片より長く、毛がある。雌鱗片には芒はない。

Fig.7 側小穂の変異。(西宮市・棚田の畦 2010.5/13)
  ふつう側小穂は雌性だが、ときに上部が雄性となるものが見られる。

Fig.8 果胞と鱗片(左)。(西宮市・棚田の畦 2010.5/13)
  果胞は長さ2〜2.5mm、有脈で短毛が生え、嘴は短い。

Fig.9 痩果。(西宮市・棚田の畦 2010.5/13)
  痩果は約1.8mm、横断面は3稜形、頂部には環状の付属体がつく。痩果と付属体の間はほとんどくびれない。

Fig.10 開花中のシバスゲ。(西宮市・棚田の畦 2013.4/5)

生育環境と生態
Fig.11 棚田の草地に生育するシバスゲ。(西宮市・棚田の畦 2010.4/23)
ネザサ、チガヤ、スズメノヤリなどの間に生育しており、花茎は20cm以上伸びたものが多かった。
他の草本に紛れて解りにくいため、花序頂端部を矢印で示した。

Fig.12 棚田の畦で群生するシバスゲ。(西宮市・棚田の畦 2010.5/13)
西宮市内では棚田の畦でシバスゲが群生する場所と、クロカワズスゲが群生する場所とがある。
この地域では畦にシバスゲが多く、旧畑作地ではクロカワズスゲが目立っていた。



最終更新日:5th.Oct.2014

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