シケシダ Deparia japonica  (Thunb.) M.Kato
  里山・林縁・草地のシダ イワデンダ科 オオシケシダ属
Fig.1 (西宮市・林道脇 2010.6/17)
低地〜低山の湿った林縁、用水路脇などに多い夏緑性シダ。
根茎は長く地中を横走し、まばらに分枝し、淡褐色膜質の鱗片をまばらにつける。
葉は根茎からまばらに出て、長さ20〜40cm、やわらかい草質である。
葉柄は葉身とほぼ同長。葉柄の鱗片は広披針形〜線形で、淡褐色、散生し、上部のものほど細い。
葉身は1回羽状複葉で、卵状披針形、鋭尖頭。
羽片は長楕円状披針形または披針形、鋭尖頭、基部は切形または心形で、ごく短い柄がある。
ふつう最下羽片は大きく、上部のものは次第に小さくなる。両面とも葉脈上に多細胞の軟短毛を多少ともつける。
裂片は楕円形、鈍頭〜円頭、細鋸歯がある。胞子嚢群(ソーラス)は線状長楕円形、中脈両側に中脈と縁の中間に3〜5個つく。
苞膜は半月形で全縁、表面は無毛。
近縁種 : ホソバシケシダ、セイタカシケシダ、ナチシケシダ、ムクゲシケシダ

■分布:本州、四国、九州 ・ 中国、ヒマラヤ
■生育環境:低地〜低山の湿った林縁、用水路脇など。

Fig.2 地上部標本。(西宮市・林道脇 2010.6/17)
  葉身は1回羽状複葉、鋭尖頭、羽片はすべて斜上気味に葉軸につき、ふつう最下羽片は小さくならない。

Fig.3 羽片。(西宮市・林道脇 2010.6/17)
  羽片は長楕円状披針形または披針形、鋭尖頭、基部は切形または心形で、ごく短い柄がある。

Fig.4 羽片の裂片。(西宮市・林道脇 2010.6/17)
  裂片は楕円形で、鋸歯がある。

Fig.5 羽片裏面の胞子嚢群(ソーラス)。(西宮市・林道脇 2010.6/17)
  胞子嚢群は線状長楕円形、中脈と縁の間につく。

Fig.6 胞子嚢群と苞膜。(西宮市・林道脇 2010.6/17)
  苞膜の縁には突起がみられないが、微毛が数本見られた。

生育環境と生態
Fig.7 棚田上部の用水路脇に群生するシケシダ。(西宮市・棚田の土手 2010.6/6)
棚田上部のネザサが優占する土手の用水路脇に密な群生が見られた。土手最上部は雑木林となり、自生地は半日陰となる部分もある。
ここの集団は葉幅が狭く、羽片の先は鈍頭となるものもあり、また最下羽片が斜め下向きとなっているので、シケシダとホソバシケシダの雑種
オオホソバシケシダの可能性がある。胞子を調べる必要があるだろう。
土手や用水路脇にはホラシノブ、ケタガネソウ、スギナ、シバスゲ、ノゲヌカスゲ、ヤマヌカボ、アオウシノケグサ、カモジグサ、アオカモジグサ、
チガヤ、トボシガラ、イグサ、スズメノヤリ、タツナミソウ、ヤハズエンドウ、ツボクサ、カキドオシ、ツリガネニンジン、ヌマトラノオ、キツネノマゴ、
コウゾリナ、ヒメジョオン、セイタカアワダチソウなどが見られた。


最終更新日:27th.Jan.2011

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