シノブ Davallia mariesii  Moore ex Bak.
  山地・岩上・着生シダ シノブ科 シノブ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・岩上 2013.6/7)
低山〜山地の岩上、樹上などに着生する夏緑性シダ。
根茎は太く、径3〜5mm、長く基物上を横走し、まばらに分枝し、淡褐色〜暗褐色の鱗片を密生する。
葉は根茎からまばらに出て、葉柄は針金状で硬く、長さ5〜10cm、脱落性の鱗片をまばらにつける。
葉身は長さ10〜30cm、幅8〜15cm、3角形または長い5角形、3〜4回羽状複葉、厚い革質でやや硬く、表面に光沢がある。
羽片には柄があり、最下羽片は最大で3角状、他のものは長卵状3角形、小羽軸には裂片が流れて翼状となる。
裂片は線状長楕円形、1脈あり、全縁、鋭頭。胞子嚢群(ソーラス)は脈の先端につき、苞膜はコップ状。
近縁種 : 

■分布:本州、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島、中国
■生育環境:低山から山地の岩上、樹上など。

Fig.2 全草標本。(兵庫県篠山市・岩上 2010.8/5)
  葉は根茎からまばらに出て、葉柄は針金状で硬く、長さ5〜10cm、脱落性の鱗片をまばらにつける。

Fig.3 根茎と葉柄。(兵庫県篠山市・岩上 2010.8/5)
  根茎は太く、岩上などの基物上の表面を横走し、まばらにひげ根を出し、先端部はやや扁平に広がり、披針形の鱗片が密に被う。
  葉柄は針金状で硬く、早落性の鱗片をまばらにつける。

Fig.4 岩上をはう根茎。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.4/25)
  淡褐色の部分が根茎の先端部。

Fig.5 葉身。(兵庫県篠山市・岩上 2010.8/5)
  葉身は3角形または長い5角形、3〜4回羽状複葉、厚い革質でやや硬く、表面に光沢がある。
  羽片は最下羽片が最も大きい。

Fig.6 最下羽片。(兵庫県篠山市・岩上 2010.8/5)
  羽片には柄があり、3角状卵形。裂片は線状長楕円形、1脈あり、全縁、鋭頭。

Fig.7 羽片裏面。(兵庫県篠山市・岩上 2010.8/5)
  胞子嚢群(ソーラス)は最終裂片の脈の先端に1個つき、苞膜はコップ状。

Fig.8 新葉を展開するシノブ。(兵庫県篠山市・岩壁 2013.4/25)
  新葉展開時には草体が褐色を帯びている。

生育環境と生態
Fig.9 岩上に生育するシノブ。(兵庫県篠山市・岩上 2013.6/7)
岩上を厚く覆っているオオトラノオゴケの下を根茎が長くはい、岩上にまばらに葉を出している。
このような場所で同所的に生育できる種は少なく、コケの切れた岩の割れ目にイワナシやトラノオシダが見られる程度だった。

Fig.10 樹幹に生育するシノブ。(兵庫県篠山市・樹幹 2014.6/10)
社寺境内のツクバネガシの樹幹に着生している。暗い下方には生育せず、木漏れ日のあたる付近に生育している。


最終更新日:16th.Nov.2014

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