シライトソウ Chionographis japonica  Maxim.
  山地・林縁の植物 ユリ科 シライトソウ属
Fig.1 (西宮市・渓流畔の岩壁 2010.6/17)
丘陵〜山地の林縁や林床に生育する多年草。
根生葉はロゼット状に出て、長楕円形または倒披針形で、長さ3〜14cm、先はやや鈍く、
下部はしだいに狭くなって柄になり、縁は細かい波状になる。
花茎は高15〜50cm、線形または披針形の葉がある。花は花茎頂部の総状花序につく。
花序は長さ5〜20cmで、多数の花が下から順次開花する。上方の花被片は長さ7〜12mmで、先は明らかに太い。
刮ハは卵形〜長楕円形で長さ3〜4mm、種子は長楕円形で長さ2〜3mm、一端に尾がある。

【メモ】 変異が多く、アズマシライトソウ、ミノシライトソウ、クロカミシライトソウなどの変種がある。
西宮市内には自生地が比較的多く、いずれも北向きのやや湿った斜面林縁に群生地がある。西日が差すような場所には現われない。
近縁種 : チャボシライトソウ

■分布:本州(秋田県以南)、四国、九州 ・ 朝鮮南部
■生育環境:丘陵〜山地の林縁や林床など。
■花期:5〜6月

Fig.2 根生葉。(西宮市・林縁 2010.6/11)
  長楕円形または倒披針形で、下部はしだいに狭くなって柄となる。葉縁は細かい波状となる。

Fig.3 茎葉。(西宮市・林縁 2010.6/11)
  茎につく葉は線形〜披針形で、花茎に螺旋状に互生してつく。

Fig.4 開花初期の花序。(岡山県真庭市・雑木林の林縁 2010.6/1)
  開花初期の花序は短く、花被片は下向きに垂れている。開花は花序の下方からはじまり、開花しながら花序も伸びていく。

Fig.5 開花中の花序。(西宮市・林縁 2010.6/11)
  花被片は6個あるが、下方の2個はごく小さく、4個あるように見える。花被片の先はやや幅広くなる。

Fig.6 花の拡大。(兵庫県篠山市・溜池土堤 2013.6/4)
  子房上位で球形、花柱は3岐し、内側に柱頭がある。雄蕊は6個。

Fig.7 果実形成期。(兵庫県篠山市・溜池土堤 2010.8/23)
  果実は卵形〜長楕円形で、長さ3〜4mm。

Fig.8 春先のロゼット。(兵庫県篠山市・林縁 2010.4/18)
  シライトソウは根生葉が常緑越冬する。濃い紫色の葉は越冬したもの。ロゼットの中央からは緑鮮やかな新葉が上がり始めている。

生育環境と生態
Fig.9 川沿いの急な斜面の林床に群生するシライトソウ。(西宮市・林床 2010.6/11)
市内ではシライトソウは湿った半日陰の急な斜面に群生していることが多い。
ここではキヨスミギボウシ、ヒメカンスゲ、アリマイトスゲ、ヘビノネゴザとともに生育している。

Fig.10 渓流の岩壁に点在するシライトソウ。(西宮市・渓流畔縁 2010.6/17)
渓流畔の岩壁の腐植質の停滞する草付き部分に点々と生育している。
岩壁には湧水がにじむ場所があり、その周辺に多くの個体が見られる。
岩壁の湿った場所ではシライトソウとともにソクシンラン、アリマイトスゲ、ゼンマイ、ササユリが見られ、乾いた場所では
ヒカゲスゲ、アリマウマノスズクサ、リュウノウギクなどの草本が見られる。

Fig.11 山間の溜池土堤に生育するシライトソウ。(兵庫県三田市・溜池土堤 2008.5/19)
溜池横の雑木林にも見られたが、土堤上のほうが個体数が多かった。
溜池土堤の常在種であるススキ、ネザサのほか、テリハノイバラ、サルトリイバラ、ワレモコウ、カナビキソウなどと生育。


最終更新日:4th.Sep.2013

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