ダイコンソウ | Geum japonicum Thumb. | ||
里山・林縁の植物 | バラ科 ダイコンソウ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・林道脇 2010.8/2) 丘陵〜低山の湿った林縁に生育する多年草。 茎は高さ25〜60cmになり、まばらに分枝し、分枝は長く横に張る。 茎には葉とともに短毛のほか、ときに粗い毛を混生する。 根生葉は羽状複葉。頂小葉は大きく、円形〜広卵形、おおむね3裂し、長さ3〜6cm、縁に低い歯牙がある。 側小葉は小型で、1〜2対、ときに付属小葉片をまじえる。 茎葉は下部のものは3深裂し、上部のものは切れ込みがない。 花はまばらで、長い枝の先につき、黄色で、径約1.5cm。萼裂片は5個、花時には反曲し、小花柄とともに短毛を密生する。 集合果は球形。痩果は紡錘形で、粗い毛がある。 変種コダイコンソウ(var. iyoanum)はダイコンソウよりも小型で、複葉の頂小葉、側小葉ともに切れ込みが深く、 その裂片の幅は狭く、ダイコンソウの葉よりも繊細な印象を受けるものをいう。兵庫県下では西部に記録がある。 近縁種 : コダイコンソウ、オオダイコンソウ ■分布:北海道南部、本州、四国、九州 ・ 中国 ■生育環境:里山の湿った林縁、疎林内など。 ■花期:7〜8月 |
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↑Fig.2 越冬ロゼット。(西宮市・林縁道端 2010.12/29) 越冬中の偽ロゼット。根生葉は羽状複葉。 |
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↑Fig.3 ロゼット葉(根生葉)。(兵庫県三田市・林道脇 2011.1/13) 頂小葉は円形〜広卵形で、側小片より大きく、3浅〜中裂する。側小葉は1〜2対あり、広倒卵形。 複葉中軸には付属小葉片がつくことが多い。葉には全体に毛が生える。 |
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↑Fig.4 開花時の根生葉。(兵庫県篠山市・林道脇 2010.8/2) 開花時にも根生葉があり、この時期のものは側小葉が1対となることが多い。 |
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↑Fig.5 茎葉。(兵庫県篠山市・林道脇 2010.8/2) 茎葉は単葉となり、下部のもは3深裂し、上方のものは切れ込みが無くなる。葉柄基部には托葉があってよく目立つ。 |
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↑Fig.6 分枝した枝先に花をつける。(兵庫県篠山市・林道脇 2010.8/2) 茎はよく分枝して、分枝は張り出し、その先に花が単性する。 |
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↑Fig.7 ダイコンソウの花。(兵庫県篠山市・林道脇 2010.8/2) 花は黄色〜橙黄色。花弁5個、円形で水平に開く。雄蕊と雌蕊はともに多数。柱頭の先はかぎ状に曲がる。 |
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↑Fig.8 大きく展開した茎上部の花が終わると、中部以下の枝の花が開花する。(兵庫県篠山市・林道脇 2010.8/2) |
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↑Fig.9 花後の未熟な集合果。(兵庫県篠山市・林道脇 2010.8/2) 花後、先がかぎ形に曲がった花柱は宿存するが、柱頭は子房の成熟とともに脱落し、花柱は外側にむかって傾いていく。 子房には粗い毛が多く、種子となっても宿存する。 下部外縁の黄色糸状のものは花糸で、花後しばらく残るが、子房が熟して種子となるころには脱落している。 |
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↑Fig.10 集合果。(兵庫県篠山市・林縁 2013.2/7) 先がかぎ形に曲がった花柱が宿存し、表面には刺毛がある。翌春になっても残っているのをよく見かける。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 林道の溝の脇に生育するダイコンソウ。(兵庫県篠山市・林道脇 2010.8/2) ダイコンソウは湿った半日陰の草地に生育していることが多い。 ここもそのうような環境であり、刈り込みに遭ったネザサ群落中にコチヂミザサ、ミツバ、ゼンマイ、フモトシダ、アオミズ、ヤブハギ、 ヤマノイモ、ツルニンジン、ミヤマフユイチゴ、オオタチツボスミレ、ニシノホンモンジスゲなどとともに見られた。 |
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Fig.12 クリ園の林床に群生するダイコンソウ。(兵庫県篠山市・クリ園 2014.7/22) よほど生育環境がマッチしたのか、クリ園の林床を一面に覆って開花していた。 同じ林床にはシケシダ、ムロウテンナンショウ、ウバユリ、タチシオデ、セントウソウ、ヤブニンジン、オヤブジラミ、サワハコベ、ヒメキンミズヒキ、 カキドオシ、キツネノマゴ、トウバナ、アキノタムラソウ、ノコンギクなどがまばらに点在している。 |