チョウセンガリヤス | Cleistogenes hackelii (Honda) Honda | ||
里山・林縁の植物 | イネ科 チョウセンガリヤス属 |
Fig.1 (西宮市・墓地内の草地 2009.11/20) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・水田の畦 2012.10/11) 日当たりのよく乾燥気味の草地、林縁、石垣などに生育する多年草。 根茎は短く硬い。茎は高さ30〜100cm、やや硬く、上方の葉腋にときに葉鞘に包まれた閉鎖花がつく。 葉身は扁平で、幅3〜8mm、長さ4〜10cm、線形で先は次第にとがり、鋭尖頭、基部は円形、ときに長軟毛がまばらに生える。 円錐花序は長さ4〜8cm、枝は少数で、単純。小穂は狭披針形で1〜4個の両性小花からなり、鉛緑色、ふつう赤紫色を帯びる。 苞頴は膜質。護頴は長さ4〜5mm、縁に圧毛があり、3脈ある。芒は長さ2〜4mm。 ■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国 ■生育環境:日当たり良い草地、林縁、石垣など。 ■花期:8〜11月 |
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↑Fig.3 全草標本。(西宮市・公園の古い石段 2009.11/4) 根茎は短くて硬い。ほとんど叢生しない。 場所によっては花序が出ずに閉鎖花をつけるらしいが、西宮のものはしっかりと花茎を上げる。 |
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↑Fig.4 根茎。(西宮市・公園の古い石段 2009.11/4) 根茎は多少肥厚し、やや太目の不定根が出ている。茎の基部には越冬芽が形成されている。 越冬芽は硬く光沢のある鱗片にタケノコ状につつまれており、やや扁平で硬い。 |
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↑Fig.5 葉は線形で短い。(西宮市・公園の古い石段 2009.11/4) 葉鞘は節間よりも長かったり、短かったりで一定しない。葉身はほぼ無毛で平滑。葉縁には微鋸歯が並ぶ。 |
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↑Fig.6 円錐花序。(西宮市・公園の古い石段 2009.11/4) 花序枝はごく少数で短く、そのうえ展開せずにほとんど中軸に寄り添うため、1本の穂状に見える。 |
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↑Fig.7 花序の一部拡大。(西宮市・公園の古い石段 2009.11/4) 小穂小軸に点頭し、短い花序枝に比較的密につく。この個体はやや生育が悪い小型の個体であるためか小花は1〜2個が多かった。 2個の苞頴は膜質で、長さ2.5mmで同長。護頴は長さ4〜5mmで、先に2〜4mmの芒がつく。内頴は長さ3.5mm。 護頴に包まれた熟した濃褐色の頴果が透けて見えている。 |
生育環境と生態 |
Fig.8 公園跡地の林内に残された石段に見られたチョウセンガリヤス。(西宮市・公園の古い石段 2009.11/4) かつては管理されて陽もよく当たっただろう石段に数株が辛うじて生き残っていた。 チョウセンガリヤスは乾燥気味の石段や石垣などで見かけることが多く、生育条件がよければ1m近くにもなる。 西宮市内ではどうも生育条件があまり良くないようで、小型の個体しか見かけない。 |
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Fig.9 棚田の畦に生育するチョウセンガリヤス。(西宮市・棚田の畦 2010.11/14) 山間棚田の畦に生育しており、このような環境で眼にするのは初めてである。 ここの個体は草刈りによって小型化しているようで、注意して見ないとアキメヒシバなどの他のイネ科草本と紛れて発見しにくい。 この畦では早春になるとアマナが見られる。 |
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Fig.10 岩壁に生育するチョウセンガリヤス。(神戸市・岩壁 2011.10/16) 山間林道脇の日当たりよい乾いた流紋岩質の堅牢な岩壁の割れ目にチョウセンガリヤスが生育していた。 岩壁にはホラシノブ、イワヒバ、ヤブソテツ、トダシバ、ノガリヤス、ススキ、ツメレンゲ、イヌコウジュ、トウバナ、オオヒキヨモギ、 イナカギクなどが生育している。 |