チゴユリ Disporum smilacinum  A. Gray
  里山・林床の植物 ユリ科 チゴユリ属
Fig.1 (西宮市・林道脇 2007.5/9)

Fig.2 (西宮市・雑木林の林縁 2010.4/30)

丘陵〜山地の林床に生育する多年草。
地下に細い根茎と匐枝がある。茎は高さ15〜30cm、斜上し、ときにわずかに分枝する。
葉は互生し、楕円形または長楕円形で、長さ4〜7cm、両面無毛、縁に半円形の突起があり、ほぼ無柄。
花は茎頂に1〜2個横向きまたは下向きにつく。花被片は白色、披針形で、長さ10〜15mm、半開する。
雄蕊は花被より短く、花糸は葯の2倍長。花柱も子房の2倍長。液果は球形、径7〜10mmで、黒熟する。

チゴユリと同属のホウチャクソウとの種間雑種にホウチャクチゴユリDisporum × hishiyamanum)がある。
関東の一部地域に知られているが、混生地に生じる可能性があり、草体は大きく、花はチゴユリに似るが、花被片は2〜3cm。
近縁種 : オオチゴユリ、キバナチゴユリ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国
■生育環境:丘陵から山地の林縁、落葉広葉樹の疎林内など。
■花期:4〜5月

Fig.3 茎と葉。(兵庫県三田市・雑木林の林縁 2010.4/30)
  茎は斜上し、節はやや屈曲し、軟らかく、稜がある。
  葉は互生してつき、質は薄く、やや光沢があり、楕円形または長楕円形、鋭頭、基部は円い。

Fig.4 開花したチゴユリ。(兵庫県三田市・雑木林の林縁 2010.4/30)
  花は晩春から初夏にかけて、横向きまたは下向きに咲き、花被片は斜開する。

Fig.5 花の拡大。(兵庫県三田市・雑木林の林縁 2010.4/30)
  花被片は6個で、白色、披針形。雄蕊6個は花被より短く、花糸は葯の2倍長で、その基部は広がる。
  花柱も子房の2倍長。子房は倒卵形。柱頭は3岐する。

Fig.6 果実形成したチゴユリ。(西宮市・雑木林の林縁 2010.9/6)
  果実は液果で球形、径7〜10mmで、黒熟する。表面は紛白を帯びる。

Fig.7 春の出芽。(兵庫県篠山市・社寺の境内 2011.4/28)
  チゴユリは出芽して数週間で開花する。

生育環境と生態
Fig.8 林縁に群生するチゴユリ。(兵庫県三田市・雑木林の林縁 2010.4/30)
里山の落葉広葉樹林の半日陰の、ネザサがまばらに生育する林床にチゴユリの群落が広がっていた。
チゴユリは匐枝によって広がり、半日陰の林床に群落をつくることが多い。


最終更新日:27th.Feb.2014

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