トキワイカリソウ Epimedium sempervirens  Nakai
  里山・林縁・林床の植物 メギ科 イカリソウ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・林縁 2010.4/18)

Fig.2 (兵庫県篠山市・林縁 2011.5/6)

丘陵〜山地の林縁や2次林の林床に生育する多年草。葉は越冬する。
地下茎は多少とも発達してひげ根を出す。地上茎は高さ20〜60cm。
根生葉は2回3出し、小葉はやや硬く卵形〜狭卵形、ときに長楕円形、長さ6〜12cm、幅3〜6cm、葉裏には伏せ毛があるか、または無毛。
葉身の基部は深い心形で、先は尾状に伸び、鋭尖頭に終り、縁には刺状の毛がある。
花弁は長さ20mm内外の距がある。
【メモ】 兵庫県内にはイカリソウやキバナイカリソウは生育していない。
     兵庫県内では紅紫色の花が多いが、滋賀、京都などの日本海側には白花も多い。
近縁種 : キバナイカリソウ、イカリソウ

■分布:本州(中部地方以西)
■生育環境:丘陵〜山地の林縁や2次林の林床など。
■花期:4〜5月

Fig.2 花序。(兵庫県篠山市・林縁 2010.4/18)
  花序は花茎に1個の2回3出複葉と対生してつき、円錐状で多数枝を分けた先に単生する。

Fig.3 トキワイカリソウの花。(兵庫県篠山市・林縁 2010.4/18)
  花径は2〜4cm。中央部に筒状に並んだ4個の花弁から、長いイカリ状の距が伸びる。

Fig.4 開花時の小葉。(兵庫県篠山市・林縁 2010.4/18)
  開花時にはまだ葉は完全に展開しておらず、赤味を帯びてみずみずしいが、色づかない葉もある。
  小葉基部は深い心形、先は尾状に伸びて、鋭尖頭。

Fig.5 越冬中のトキワイカリソウ。(兵庫県篠山市・林床斜面 2011.2/10)
  名前のとおり常緑越冬する。越冬中は枝が倒伏し、葉は地表に広がっていることが多い。

生育環境と生態
Fig.6 林縁の斜面に生育するトキワイカリソウ。(兵庫県篠山市・林縁 2009.4/20)
植林地の林縁の急斜面で、高茎の草本の少ない場所に生育している。
同所的にタチツボスミレ、ヤマルリソウ、セツブンソウ、ヒメウズ、エンレイソウなどが見られた。

Fig.7 社寺本堂裏手の急傾斜に生育するトキワイカリソウ。(兵庫県篠山市・林縁斜面 2011.5/6)
自生地はシカの食害の激しい地区であるが、見通しのよい急傾斜であるため食害を逃れた本来の植生が見られた。
斜面はかなり湿り気があり、チャルメルソウが優占し、セリバオウレン、ミヤマカタバミ、ニシノホンモンジスゲ、ミヤマカンスゲ、ヌカボシソウ、
エンレイソウ、ショウジョウバカマが多く、トキワイカリソウはオオタチツボスミレ、イチリンソウなどとともに点在している。


最終更新日:20th.May.2011

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