ツルリンドウ Tripterospermum japonicum
    (Sieb. et Zucc.) Maxim.
  里山・林縁・林床の植物 リンドウ科 ツルリンドウ属
Fig.1 (西宮市・溜池畔 2010.9/20)
丘陵〜山地、里山の林縁や林床などに生育する多年草。
茎は細長く長さ40〜80cm、紫色を帯び、つるになって他物に絡み、また地表をはう。
葉は3角状披針形、先端は長くとがり、基部はやや心形または円形、長さ3〜5cm、3脈があり、無毛で、5〜10mmの柄がある。
裏面は淡緑色で、紫色を帯びることが多い。
花は葉腋にふつう1個つく。花冠は筒状鐘形、淡紫色〜白色で長さ25〜30mm、裂片は狭3角形、裂片間に小型の副片がある。
萼筒は長さ6〜8mmで、5条の狭い翼があり、裂片は線形で鋭頭、筒部と同長または少し長い。
液果は紅紫色、球形で径8mm前後、柄は花後長く伸び、長さ15〜20mmで、花冠より突き出す。種子に膜質の翼が3個ある。
近縁種 : ホソバノツルリンドウ

■分布:南千島、北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国、樺太
■生育環境:丘陵〜山地、里山の林縁、林床など。
■花期:8〜10月

Fig.2 葉。(兵庫県三田市・雑木林の林床 2011.1/20)
  葉は3角状披針形、先端は長くとがり、基部はやや心形または円形、3脈があり、無毛で光沢があり、有柄。

Fig.3 花。(西宮市・雑木林の林床 2007.10/16)
  花は葉腋にふつう1個つく。花冠は筒状鐘形、淡紫色〜白色、裂片は狭3角形、裂片間に小型の副片がある。
  萼筒は5条の狭い翼があり、裂片は線形で鋭頭、筒部と同長または少し長い。

Fig.4 花は雄性先熟。(西宮市・溜池畔 2010.9/20)
  開花している2個の花のうち、右側の花は花柱が割れて柱頭が反り返りはじめており、雄性期から雌性期の途上のものである。
  左側の花は恐らく受粉が完了した花で、花糸は完全に脱落して見えない。

Fig.5 果実期。(西宮市・溜池土堤 2009.11/20)
  液果は紅紫色、球形で光沢があり、花柱は宿存し、柄は花後長く伸びて宿存する花冠より突き出す。

Fig.6 冬期の草体。(兵庫県三田市・雑木林の林縁 2011.1/20)
  冬期はつる状の細長い茎はふつう枯れて、節間の詰まった草体となり、常緑越冬する。
  春になると茎の先がつる状となって伸び始める。

Fig.7 伸び始めたツル状の茎。(兵庫県篠山市・雑木林の林縁 2011.4/28)

生育環境と生態
Fig.8 溜池畔のオオミズゴケ群落中に生育するツルリンドウ。(西宮市・溜池畔 2010.9/20)
低山中にある管理放棄された溜池畔のオオミズゴケ群落中に茎をはわせて開花していた。
西宮市内では雑木林の林床のほか、植林地の林床、林道脇、溜池畔、湿地などいたるところにツルリンドウが見られる。
湿地や溜池畔で生育するものはオオミズゴケのマット上に茎をはわせているものが多い。
ここではタチスゲ、ゴウソ、ヤチカワズスゲ、オタルスゲ、マメスゲ、サトヤマハリスゲ、チゴザサ、ヒメコヌカグサ、タマコウガイゼキショウ、
ヒメアギスミレ、サワギキョウなどとともに生育している。

Fig.9 雑木林の林床に生育するツルリンドウ。(兵庫県香美町・雑木林の林床 2009.9/21)
雑木林の林床に生育する場合、ルツリンドウは他の低木などに絡みついてよじのぼることが多い。
ここではリョウブの若い木に茎を巻きつけて登っている。林床には同所的にカリガネソウ、クロバナヒキオコシ、サルトリイバラなどが見られた。


最終更新日:3rd.May.2011

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