ヤクシソウ Youngia denticulata  (Huttuyu) Kitam.
  里山・林縁の植物 キク科 オニタビラコ属
Fig.1 刈り込みに遭い、側枝から多数開花した個体。(西宮市・寺院の草地 2009.12/1)

Fig.2 (西宮市・林縁 2015.10/13)

日当たり良い丘陵〜山地のやや乾いた場所に普通な越年草。
茎は無毛で、よく分枝し、高さ30〜120cm。根生葉はふつうさじ形で柄があるが、開花時には枯れる。
茎葉は長楕円形で下部は次第に狭くなるが、基部で再び広がり丸い耳状となって茎を抱く。
秋に分枝した枝先に多数の頭花をつける。頭花は径1.5cm、上向きに咲き、花後に花柄が曲がって下を向く。
総苞は長さ7mm、下部はふくれて堅くなる。痩果は黒褐色で長さ3.5mm。冠毛は純白色。

葉が羽状に切れ込むものはハナヤクシソウ(f. pinnatipartita)とされ、ヤクシソウと混生することも多い(Fig.8 参照)。
ナガバヤクシソウY. yoshinoi)は中国山地の石灰岩上に生育し、葉には柄があり、茎を抱かない。
近縁種 : ハナヤクシソウ、ナガバヤクシソウ、オニタビラコ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国、ベトナム
■生育環境:日当たり良い丘陵〜山地の道端、崖地、林縁などの乾いた場所。
■花期:8〜11月

Fig.3 開花中のヤクシソウ。(西宮市・寺院の草地 2009.12/1)
  花は分枝した枝の先に散房状に多数つき、上を向いて咲く。

Fig.4 頭花。(西宮市・寺院の草地 2009.12/1)
  小花は全て舌状花。花弁の先は5〜6裂していることが多い。

Fig.5 花後の頭花(右)と熟した集合果(左)。(西宮市・寺院の石段 2009.12/1)
  花後、頭花の柄は曲がり下を向く。集合果は多数の痩果からなり、痩果の頂端には純白の冠毛がある。

Fig.6 痩果。(西宮市・寺院の石段 2009.12/1)
  痩果は熟したものと不稔のものが混じっていることが多い。手前の細い白色のものは不稔の痩果。
  その向こうの痩果は熟しており、黒褐色で、表面には縦の隆条がある。

Fig.7 越冬前の実生苗。(西宮市・寺院の石段 2009.12/1)
  越冬前の根生葉には柄があり、葉身は腎円形。開花時の葉の形とは随分異なる。

Fig.8 ハナヤクシソウの葉。(西宮市・林縁 2015.10/13)
  品種ハナヤクシソウ(f. pinnatipartita)とされるもので、葉が羽状に切れ込む。

生育環境と生態
Fig.9 溜池土堤で開花したヤクシソウ。(兵庫県小野市・溜池土堤 2010.11/15)
ヤクシソウは貧栄養な崩壊地や崖地から溜池土堤や河川堤防など、幅広く見られ、晩秋の野山を飾る草本である。
この土堤では秋期に草刈りが行われ、その後花茎を伸ばした多数のツリガネニンジン、返り咲きのタツナミソウとともに、土堤に多数群生していた。


最終更新日:19th.Aug.2016

<<<戻る TOPページ