ヤマムグラ | Galium pogonanthum Franch. et Savat. | ||
山地・林縁・林床の植物 | アカネ科 ヤエムグラ属 |
Fig.1 (兵庫県神戸市・林縁 2007.6/17) |
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Fig.2 (西宮市・林道脇 2013.5/28) 低山〜山地のやや乾いた林縁や林床に生育する多年草。 茎は細く、下部で分枝して直立し、高さ10〜40cm、無毛。 葉は4個輪生し、広線形〜狭倒披針形、長さは茎を挟んで対となる2組で異なり、長さ1〜2cm、幅2〜4mm、鋭頭、 基部は次第に細くなり、表面は無毛、縁と裏面中脈上に上向きの短毛がある。 集散花序は枝先につき、数個の淡黄緑色〜白色の花を、細い花柄の先につける。小花柄は細く、長さ3〜10mm。 花冠は4裂し、径1.5mm、裂片は卵形で、背面には剛毛がある。 果実はやや楕円形で、上向きに曲がった短毛がやや密に生える。 花冠に毛のないものをケナシヤマムグラ(f. nudiflorum)という。 また、茎に開出毛があり、葉に毛の多いものをオヤマムグラ(var. trichopetalum)という。 近縁種 : ケナシヤマムグラ、オヤマムグラ、 ■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島 ■生育環境:低山〜山地のやや乾いた林縁や林床。 ■花期:5〜6月 |
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↑Fig.3 茎と葉。(兵庫県神戸市・林縁 2007.6/17) 茎は細く、下部で分枝して直立し、無毛。 葉は4個輪生し、長さは茎を挟んで対となる2組で異なり、広線形〜狭倒披針形、表面は無毛、縁と裏面中脈上に上向きの短毛がある。 茎の基部近くにある卵形の小さな葉は冬越ししたもので、小さな草体で常緑越冬する。 |
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↑Fig.4 集散花序。(岡山県真庭市・農道脇 2010.6/1) 花は集散花序にまばらにつき、花柄は細く長い。花冠は4裂し、淡黄緑色〜白色、径1.5mm、裂片は卵形で、下面には刺毛が生えている。 雄蕊4個。雌蕊2個。 |
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↑Fig.5 果実期。(西宮市・林道脇 2011.6/23) |
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↑Fig.6 果実。(西宮市・林道脇 2011.6/23) 果実はやや楕円形で、上向きに曲がった短毛がやや密に生える。 |
生育環境と生態 |
Fig.7 農道脇の林縁草地に生育するヤマムグラ。(岡山県真庭市・農道脇 2010.6/1) 里山の農道脇の林縁草地に点々とヤマムグラが生育していた。 この農道脇は自然度が高く、ヤマムグラのほか、イヌヨモギ、オトコヨモギ、カノコソウ、ヒメノダケ、ホタルカズラ、瀬戸内型ヒメカンスゲ など様々な草花が見られた。 |
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Fig.8 林床の石灰岩の岩上に生育するヤマムグラ。(岡山県真庭市・林床 2010.6/1) カレンフェルドの発達した雑木林の明るい林床の各所に数多くのヤマムグラが生育していた。 画像中には瀬戸内型ヒメカンスゲ、ヤマカシュウの幼個体、ミヤマナルコユリ、ミツバアケビ、ナンテン、ヤマブキが見られるほか、 周辺ではダンコウバイが多く、キッコウハグマ、タガネソウ、ヒカゲスゲ、オケラ、フユザンショウ、ナツノハナワラビの仲間などが見られた。 |
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Fig.9 林道脇の斜面に生育するヤマムグラ。(西宮市・林道脇 2013.5/28) 半日陰となる林道脇のやや湿った斜面にヤマムグラが多数生育していた。 斜面はシダ類が多く、イノデ、ベニシダ、ハカタシダ、リョウメンシダ、イヌガンソク、ヤブソテツ、シケシダ、ミゾシダのほか、 ヒメシャガ、ヒメカンスゲ、ナキリスゲ、シソバタツナミ、スイカズラなどが生育している。 |