ユキザサ Smilacina japonia  A.Gray
  山地・林床の植物 ユリ科 ユキザサ属
Fig.1 (兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)

Fig.2 (兵庫県養父市・林縁 2014.6/15)

山地の林床や林縁に生育する多年草。
根茎は横にはい、径4〜7mmで節間はあまり詰まらない。茎は高さ20〜70cm、円く、条線がない。
葉は卵状長楕円形で長さ6〜15cm、基部は円く、両面、特に裏面の脈上にあらい毛が多い。
花は円錐花序につき、花序と花柄にあらい毛が多い。花被片は白色、長楕円形で長さ3〜4mm、平開する。
雄蕊は花被片より短い。花柱は子房とほぼ同長。花柱は丸いか、不明瞭に3浅裂する。
液果は球形で径5〜7mm、赤熟する。
近縁種 : ヤマトユキザサ、ヒロハユキザサ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国、ウスリー、アムール
■生育環境:山地の林床や林縁など。
■花期:5〜7月

Fig.3 茎。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  茎は多くは斜上して、赤紫色を帯びることが多く、円柱状で稜角や条線はなく、節でやや屈曲して、軟毛が生える。

Fig.4 茎下方の毛。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  茎下方の葉のつかない部分では毛は短く、まばらとなる。

Fig.5 葉。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  葉は卵状長楕円形で長さ6〜15cm、基部は円く、両面、特に裏面の脈上にあらい毛が多い。

Fig.6 花序。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  花序は円錐花序。花序枝を中軸から互生して出す。

Fig.7 花序の拡大。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  花序の中軸には軟毛が生え、花序枝は節で屈曲し、花には花柄がある。

Fig.8 花被。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  内花被片と外花被片の同形同長、白色、長楕円形で、平開する。雄蕊は花被片よりも短い。
  花柱は雄蕊よりも短く、柱頭は丸いか、不明瞭に3岐する。

Fig.9 花上に見られたルイスクビナガハムシ。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
  ルイスクビナガハムシ(Lilioceris lewisi)はマイヅルソウ、ナルコユリ、ミヤマナルコユリなどの山地性ユリ科草本を食草とすることが知られている。
  ユキザサも同様に利用していることは容易に推測され、画像の成虫が花粉を後食していたとすると、花粉媒介者となっている可能性が高い。

生育環境と生態
Fig.10 林床に生育するユキザサ。(兵庫県香美町・植林地の林床 2011.5/26)
ユキザサは兵庫県下ではシイ・カシ帯上部からブナ帯にかけて見られ、県北部の林床に多い。
ここはシイ・カシ帯とブナ帯の境界付近にある植林地で、あちこちに根茎によって広がった小群落が見られた。
同所的に見られるものはカンスゲ、ミヤマカンスゲ、オクノカンスゲ(ハバビロスゲ型)、ミヤマジュズスゲ、ホウチャクソウ、ウワバミソウ、
ミヤマカタバミ、ニリンソウ、サンカヨウ、ヒカゲミツバ、ツタウルシ、モミジガサ、ラショウモンカズラ、イノデ類などであった。


最終更新日:15th.Nov.2014

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