エゾイヌゴマ | Stachys riederi Chamisso var. villosa (Kudo) Kitam. | シソ科 イヌゴマ属 |
湿生植物 |
Fig.1 (西宮市・溜池畔の湿地 2003.7/4) 湿地や溜池畔、用水路脇などに生える多年草。 根茎を地下に横走させ、まばらに群生することが多い。 茎は方形で直立し、高さ40〜70cm、稜上には粗剛毛がある。 葉は長さ4〜8cmで広披針形、鈍頭、鋸歯は丸みを帯び、裏面には毛が生える。 萼は長さ6〜8mmで5裂し、先端は刺状に開出してとがり、全体に剛毛が多い。 花冠は2唇形で長さ12〜15mm、下唇は3裂して紅点がある。雄蕊は4個で、下方の2対は長く斜上する。 分果はやや円形で長さ約1.7mm。 近似種 : イヌゴマ ■分布:北海道、本州 ・ 朝鮮半島、南千島、樺太 ■生育環境:湿地、溜池畔、用水路脇など。 ■花期:7〜8月 ■西宮市内での分布:2ヶ所の溜池に付随する湿地に生育するが、近くに人工的な施設があり、建築資材とともに移入された可能性が高い。 |
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↑Fig.2 茎、萼片など。(西宮市・溜池畔 2007.8/19) 茎は方形で、稜上には逆刺が生えるが、長く柔らかい。 萼は5裂し、裂片先端は開出してとがる。萼片の外側には長い開出する剛毛が生える。 |
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↑Fig.3 エゾイヌゴマの幼苗。(西宮市・溜池畔 2007.8/19) 発芽して1年目の個体はまだ小さく開花には至らないようだ。 |
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↑Fig.3 成長期の個体。(西宮市・湿地 2007.5/27) 4本見える草体は、地下で横走する根茎から1本づつ分散して茎を立ち上げており、全てひとつの個体である。 白い花と心形の葉はアギスミレ。線形の葉はゴウソのもの。 |
西宮市内での生育環境と生態 |
Fig.6 溜池の流入部に付随する湿地に点在するエゾイヌゴマ。(西宮市・溜池畔の湿地 2003.7/4) クサヨシ、カモノハシなどのイネ科植物が優占する湿地に点々と花茎をあげている。 現在、この湿地ではチゴザサが優占種となり、エゾイヌゴマの個体数はめっきり減ってしまった。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 村田源, 1981. シソ科イヌゴマ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編) 『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 p.89〜90. pl.77. 平凡社 北村四郎・村田源・堀勝, 2004 イヌゴマ. 『原色日本植物図鑑 草本編(1) 合弁花類』 p.174. pl.53. 保育社 村田源. 2004. エゾイヌゴマ. 『近畿地方植物誌』 46. 大阪自然史センター 最終更新日:8th.Mar.2013 |