イヌゴマ | Stachys riederi Chamisso var. intermedia (Kudo) Kitam. | シソ科 イヌゴマ属 |
湿生植物 |
Fig.1 (滋賀県・湖岸の湿地 2008.9/8) |
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Fig.2 (滋賀県・湖岸 2011.8/18) 湿地や溜池畔、用水路脇などに生える多年草。 根茎を地下に横走させ、まばらに群生することが多い。 茎は方形で直立し、高さ40〜70cm、稜上には逆刺がある。 葉は長さ4〜8cmで広披針形、鈍頭、鋸歯は丸みを帯び、裏面中肋には短い逆刺がありざらつく。 萼は長さ6〜8mmで5裂し、先端は刺状に開出してとがる。 花冠は2唇形で長さ12〜15mm、下唇は3裂して紅点がある。雄蕊は4個で、下方の2対は長く斜上する。 分果はやや円形で長さ約1.7mm。 他の変種に以下の2種がある。 ケナシイヌゴマ(var. japonica)は茎、葉、萼が無毛で逆刺もない。九州、沖縄に分布。 エゾイヌゴマ(var. villosa)は茎、葉、萼に開出する粗剛毛が多い。北海道、本州中部以北に分布。 近似種 : エゾイヌゴマ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ■生育環境:湿地、溜池畔、用水路脇など。 ■花期:7〜8月 ■西宮市内での分布:過去に武庫川河川敷からの記録があるが、現在は確認できない。 |
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↑Fig.3 花序。(滋賀県・湖岸の湿地 2008.9/8) 花は茎の頂部に数段輪生してつく。最下の段は少し下方に離れてつく。 画像では、茎の稜上に逆刺があるのがかろうじて判る。 |
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↑Fig.4 花冠。(滋賀県・湖岸の湿地 2008.9/8) 花冠は唇形で下唇は広く、よく発達し、紅色の斑紋がある。 雄蕊4個。雌蕊は2岐する柱頭が飛び出す。 |
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↑Fig.5 果実期。(滋賀県・湖岸 2011.8/18) 萼は5裂し、辺縁には粗い毛が生え、先端は刺状に開出してとがる。萼筒の奥には4個の分果が見える。 |
生育環境と生態 |
Fig.6 湖岸に成立した湿地に生育するイヌゴマ。(滋賀県・湖岸の湿地 2008.9/8) やや遷移が進んで乾燥化しつつある場所で、ネザサ、ヒメシダ、コウヤワラビ、イノコヅチ、スズメウリが目立ち、 周辺ではヤナギイノコヅチ、ハシカグサ、シロネ、シロバナサクラタデなどが生育する。 |
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Fig.7 小河川の河畔に見られたイヌゴマ群落。(滋賀県・小河川 2008.9/8) アシやドクゼリが群落をつくっている小河川の水際にイヌゴマの群落が見られた。 河川内にはオヒルムシロ、ササバモ、クロモ、ナガエミクリなどが生育する自然度の高い場所である。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 牧野富太郎, 1961 イヌゴマ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 747. 北隆館 北村四郎・村田源・堀勝, 2004 イヌゴマ. 『原色日本植物図鑑 草本編(1) 合弁花類』 p.174. pl.53. 保育社 牧野富太郎, 1961 イヌゴマ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 530. 北隆館 関口克己. 2001. イヌゴマ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 1224〜1226. 神奈川県立生命の星・地球博物館 小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. イヌゴマ. 『六甲山地の植物誌』 188. (財)神戸市公園緑化協会 村田源. 2004. イヌゴマ. 『近畿地方植物誌』 46. 大阪自然史センター 黒崎史平 2004. イヌゴマ. 兵庫県産維管束植物6 シソ科. 人と自然15:145. 兵庫県立・人と自然の博物館 最終更新日:9th.Nov.2011 |