ハイコヌカグサ Agrostis stolonifera  L. イネ科 ヌカボ属
湿生植物
Fig.1 (兵庫県芦屋市・湿った草地 2008.7/10)

水田の畦、休耕田、畑地、湿った道端や草地などに普通な多年草。牧草として輸入されて逸出帰化。ゴルフ場の芝にも利用される。
茎の基部は長く地表をはい、分枝して節から発根する。
円錐花序は長さ15〜20cm、披針形〜狭長卵形で、花序枝は花時にやや開出する。
花序中軸の節から数個の長短のある花序枝を出すが、短いものは小穂を基部近くからつける。
小穂は長さ2〜2.5mm、少し光沢があり、有柄、1小花からなる。
内穎は護穎の半分より長く、葯の長さは護穎の半分よりも長い。
近似種 : コヌカグサ、 クロコヌカグサ、ヌカボ、ヤマヌカボ、ヒメコヌカグサ

■分布:ユーラシアの温帯原産の帰化植物 ・ 北半球の温帯〜亜寒帯
■生育環境:水田の畦、休耕田、畑地、湿った道端や草地など。
■果実期:7〜10月
■西宮市内での分布:1ヶ所で確認した。

Fig.2 花序。(西宮市・砂防ダム内の湿地 2007.8/2)
  花序はコヌカグサと同様に赤紫色を帯びるものがある。

Fig.2 花序の一部拡大。(西宮市・砂防ダム内の湿地 2007.8/5)
  花序中軸に輪生状につく花序枝の短いものは、基部近くから小穂をつける。

Fig.3 茎は地表を長く這う。(兵庫県芦屋市・湿った草地 2008.7/10)
  走出枝をだして横に広がるのが特徴だが、生育状態の悪いものや草叢の中のものは確認しにくい。

西宮市内での生育環境と生態
Fig.6 砂防ダム内の流水中に生育するハイコヌカグサ。(西宮市・砂防ダム内 2007.8/5)
堆積する砂礫に埋もれそうになりながら、抽水状態で生育していた。このような例は珍しいかもしれない。
左側の明るい緑色の草体はアイバソウ、手前の大きめの線形の草体はツルヨシ。3つ巴になって流水中で頑張っている。。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大井次三郎, 1982. イネ科ヌカボ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本1 単子葉類』 pp.124〜125. pls.109. 平凡社
小山鐡夫, 2004 イネ科コヌカグサ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 pp.350〜353. pls.91〜92. 保育社
牧野富太郎, 1961 コヌカグサ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 730. 北隆館
藤本義昭. 1995. イネ科コヌカグサ属. 『兵庫県イネ科植物誌』 26〜35. 藤本植物研究所
木場英久. 2001. イネ科ヌカボ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 292〜296. 神奈川県立生命の星・地球博物館
桑原義晴, 2008 コヌカグサ属. 『日本イネ科植物図譜』 pp.44〜56. pls.10〜11. 全国農村教育協会
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. ハイコヌカグサ. 『六甲山地の植物誌』 224. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. ハイコヌカグサ. 『近畿地方植物誌』 168. 大阪自然史センター

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