ハンカイソウ Ligularia japonica  DC. キク科 メタカラコウ属
湿生植物
Fig.1 (神戸市・林縁 2015.5/24)

低山〜山地の半日陰の湿地、渓流畔、湿った林縁や草地などに生える多年草。
茎は直立し、高さ60〜100cm、基部は太さ7〜9mm、無毛、ふつう紫色の斑点がある。
根生葉は大きく、長柄があり、葉身は掌状に分裂して、長さ幅とも30cm内外に達する。
葉ははじめヤブレガサのようにすぼんでおり、やがて開いていく。
茎葉はふつう3個で、柄は広い鞘となり、上部のものは小さい。
頭花は散房状に2〜8個つき、大きなものは径10cmに達し、柄は太く、長さ2.5〜20cmで、ちぢれた毛がある。
舌状花は10個内外。痩果は長さ9mm、冠毛は赤褐色を帯び、長さ6〜7.5mm。

【メモ】 本種はシカの忌避植物で各地で増えつつあるとのこと。また低地で見られるが本来はイヌブナ帯に生育するとのことだ。
近似種 : オタカラコウ、 メタカラコウ、 マルバダケブキ、 トウゲブキ、 カイタカラコウ

■分布:本州(静岡県以西)、四国、九州 ・ 中国、台湾、朝鮮半島
■生育環境:低山〜山地の半日陰の湿地、渓流畔、湿った林縁や草地など。
■花期:5〜8月
■西宮市内での分布:市内には生育していない。県下では阪神・淡路・西播磨・丹波に分布する。

Fig.2 根生葉。(神戸市・林縁 2015.5/24)
  根生葉は大きく、長柄があり、葉身は掌状に分裂して、長さ幅とも30cm内外に達する。

Fig.3 茎と茎葉の葉柄。(神戸市・林縁 2015.5/24)
  茎は直立し無毛、ふつう紫色の斑点がある。茎葉の柄は広い鞘となる。

Fig.4 頭花は茎頂に散房状につく。(神戸市・林縁 2015.5/24)

Fig.5 つぼみと花柄。(神戸市・林縁 2015.5/24)
  総苞は筒鐘形、総苞片は1列で長く、微短毛が生え、鋭頭。花柄は太く、ちぢれた短毛がある。

Fig.6 頭花。(神戸市・林縁 2015.5/24)
  頭花は大きなものでは10cmに達する。外縁に舌状花が10個内外つき、筒状花とともに稔る。

Fig.7 頭花の拡大。(神戸市・林縁 2015.5/24)
  舌状花は先が2裂する。筒状花の集葯雄蕊は褐色。

Fig.8 結実期。(神戸市・林縁 2015.11/1)

Fig.9 種子。(神戸市・林縁 2015.11/1)
  痩果は長さ9mm、冠毛は赤褐色を帯び、長さ6〜7.5mm。

Fig.10 痩果。(神戸市・林縁 2015.11/1)
  痩果は長さ8〜10mm、無毛で平滑。

Fig.11 幼植物。(神戸市・林縁 2015.5/24)
  成熟個体の周囲に見られた当年苗と思われるもの。

Fig.12 若い個体。(神戸市・渓流畔 2015.7/14)

生育環境と生態
Fig.13 半日陰の林縁に生育するハンカイソウ。(神戸市・林縁 2015.5/24)
半日陰の湿った林縁部にハンカイソウが数個体生育していた。
周辺にはウツギ、コガクウツギ、コクサギ、クサギなどの低木や幼木、ミゾシダ、ゲジゲジシダ、ヒメワラビ、ハリガネワラビ、
ススキ、クサイチゴ、ドクダミ、スイカズラなどが生育している。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
北村四郎・村田源, 2004 キク科メタカラコウ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(1) 合弁花類』 p.183〜185. pls.156〜157. 保育社
北村四郎・村田源・堀勝, 2004 キク科メタカラコウ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(1) 合弁花編』 p.41〜42. pl.13. 
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. ハンカイソウ. 『六甲山地の植物誌』 209. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. ハンカイソウ. 『近畿地方植物誌』 26. 大阪自然史センター
小山博滋・黒崎史平・高野温子 2007. ハンカイソウ. 兵庫県産維管束植物8 キク科メタカラコウ属. 人と自然17:175. 兵庫県立・人と自然の博物館

最終更新日:21st.Sep.2016

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