マルバノサワトウガラシ | Deinostema adenocaulum (Maxim.) Yamazaki. | ゴマノハグサ科 サワトウガラシ属 |
湿生植物 環境省絶滅危惧U類(VU)・兵庫県RDB Bランク種 |
Fig.1 (滋賀県・休耕田 2012.9/7) |
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Fig.2 (滋賀県・水田 2007.11/8) 水田や休耕田に稀に生える小型の1年草。 環境省のRDBカテゴリーでは絶滅危惧IB類(EN)に選定されているが、本種が生育する水田では、ふつう個体数は多い。 茎は下部で分枝し、直立または斜上する。成長期が夏期である場合は直立することが多く、秋期の場合では 斜上しながら分枝することが多いように思われる。高さは夏期では10〜20cm。秋期では2〜10cm。 サワトウガラシに似るが、葉幅が広く卵円形で5〜7脈が明瞭、長さ5〜8mmでサワトウガラシよりも短い。 刮ハは楕円形〜広楕円形。痩果はサワトウガラシよりも網目状隆起は低く、いく分細身である。 サワトウガラシと混生することもあるようだが、まだそのような自生地には巡り合っていない。 近似種 : サワトウガラシ ■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島南部 ■生育環境:水田や休耕田、湿地など。 ■花期:8〜10月 ■西宮市内での分布:市内では確認できていない。 |
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↑Fig.3 葉は茎に対生して付き、長さ5〜8mm。5〜7脈あり卵円形。(岡山県真庭市・水田 2007.9/23) 画像では7脈あるのが確認できる。 |
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↑Fig.4 対生する葉の葉腋の一方から花茎が伸び、もう一方からは側芽、あるいは閉鎖花を生じる。(岡山県真庭市・水田 2007.9/23) 茎には腺毛がごくまばらに生え、花茎や萼にはやや多く生える。 |
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↑Fig.5 開花中の個体。(滋賀県高島市・休耕田 2012.9/7) 花は唇形花でサワトウガラシとほぼ同形である。 |
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↑Fig.6 対生して開花した個体。(滋賀県高島市・休耕田 2012.9/7) 開花最盛期の集団で稀に見られるもののようである。 |
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↑Fig.7 正常花と閉鎖花の果実。(滋賀県・水田 2007.11/8) 茎の下部では、対生する葉の葉腋から花茎と閉鎖花を付けることが多い。 閉鎖花には柄がなく、葉腋からじかに生じる。 茎の同じ部位の正常花、閉鎖花の結実は正常花の方が早く、閉鎖花が結実する頃には、正常花には萼片が残るのみである。 |
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↑Fig.8 閉鎖花の果実と腺毛の様子。(滋賀県・水田 2007.11/8) 萼片や茎ばかりでなく、閉鎖花直下の葉裏にまで腺毛がまばらに生えている。 |
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↑Fig.9,10 マルバノサワトウガラシの種子。(滋賀県・水田 2007.11/8) 長さ0.6〜0.7mmの長楕円形で茶褐色。すぼまった両端は黒褐色、表面には網目模様がある。 |
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↑Fig.11 出芽したマルバノサワトウガラシ。(自宅植栽 2008.7/20) この後、同じ鉢のスズメノハコベやミズマツバは順調に生育したが、マルバノサワトウガラシは枯れてしまった。 高水温には弱いのだろうか? |
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↑Fig.12 成長途上の個体。(滋賀県・水田の減反地 2008.9/8) 周囲にはホシクサとシソクサの幼苗が見える。 |
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↑Fig.13 つぼみを上げはじめたマルバノサワトウガラシ。(滋賀県・水田の減反地 2008.9/8) |
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↑Fig.14 刈り取り後の水田で鮮やかに紅葉したマルバノサワトウガラシ。(滋賀県・水田 2007.11/8) |
生育環境と生態 |
Fig.15 刈り取り後の水田で見られたマルバノサワトウガラシ。(滋賀県・水田 2007.11/8) 画像中央のホシクサの手前に散在する、紅葉した小さな草体がマルバノサワトウガラシ。 草体の小ささから、この秋に結実・落下した種子が発芽したものではないかと思うのだが、どうだろうか? 画像中にはホシクサの他に、アゼトウガラシ、ヒロハイヌノヒゲ、キカシグサ、ノミノフスマなどの水田雑草が見える。 |
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Fig.16 休耕田で見られたマルバノサワトウガラシ群落。(滋賀県高島市・休耕田 2012.9/7) 琵琶湖の沿岸部に近い休耕田の一画で、足の踏み場もないほどに群生していた。 このような場所で生育するものは草丈が20cm程度となる。 同所的にコナギ、キクモ、チョウジタデ、タウコギ、シソクサが生育している。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 山崎敬, 1981. ゴマノハグサ科サワトウガラシ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編) 『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 pp.102. pls.87. 平凡社 北村四郎・村田源・堀勝, 2004 ゴマノハグサ科サワトウガラシ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(1) 合弁花類』 pp.148. pls.45. 保育社 牧野富太郎, 1961 マルバノサワトウガラシ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 556. 北隆館 城川四郎. 2001. サワトウガラシ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 1261. 神奈川県立生命の星・地球博物館 村田源. 2004. マルバノサワトウガラシ. 『近畿地方植物誌』 38. 大阪自然史センター 黒崎史平・高野温子 2006. マルバノサワトウガラシ. 兵庫県産維管束植物7 ゴマノハグサ科. 人と自然16:103. 兵庫県立・人と自然の博物館 松岡成久・丸岡道行. 2010. 千種町山間部の水田に見られた水田雑草. 兵庫県植物誌研究会会報 82:4 最終更新日:5th.Aug.2016 |