ミゾホオズキ Mimulus nepalensis  Benth. ゴマノハグサ科 ミゾホオズキ属
湿生植物
Fig.1 (兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/16)

Fig.2 (兵庫県篠山市・渓流畔 2012.4/29)

山間の湿地、溜池畔、渓流畔に生育する多年草。日当たりの良い場所を好む。
茎は柔らかく方形で、分枝して地表に広がり、長さ10〜30cm、無毛。
葉は対生し、膜質で卵形〜楕円形、葉先は鋭頭、長さ10〜40mm、幅5〜20mm、基部に柄があり、縁には少数の鋸歯がある。
花は茎上部の葉腋に1花づつまばらにつける。花柄は細く、長さ11〜20mm。萼は筒状で5稜あり、先は切形で5個の突起状の裂片があり、軟毛が生える。
花冠は黄色で筒状、萼よりやや長く、長さ10〜15mm、先は唇形となり、上唇は2裂、下唇は3裂し、内側基部に2個の隆条があり、毛状突起が密生する。
雄蕊4個で、下側の2個は上側のものに較べて長い。
花柱は細長く、先は上下の扁平な2片に裂け、内面に柱頭があり、これに触れると上下に開いた2片は急速に閉じる。
刮ハは長楕円形で、花後に袋状に大きくなった萼に包まれる。種子は小さく楕円形。

近縁種にオオバミゾホオズキM. sessilifolius)がある。根茎は横に這い、地上茎は分枝せず直立。葉はミゾホオズキより大きく、葉柄はない。
本州の兵庫県以北〜北海道の山地〜亜高山の湿地などに生育する
近似種 : オオバミゾホオズキ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮南部、台湾、中国
■生育環境:日当たりの良い山間の湿地、渓流畔、溜池畔など。
■花期:5〜6月
■西宮市内での分布:六甲山系に生育するが、市内では確認していない。兵庫県では中・北部に広く見られる。

Fig.3 ミゾホオズキの茎と葉。(兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/16)
  茎は柔らかく、方形で無毛。葉は対生し、卵形〜楕円形で葉柄があり、数個の鋸歯がある。

Fig.4 渓流畔を埋めたミゾホオズキ群落。(兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/16)
  基部付近で盛んに分枝して横に広がるため、群生すると大きな群落となる。

Fig.5 花は初夏の頃、茎上部の葉腋につく。(兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/16)
  花冠は筒状で黄色。花筒は萼筒よりもやや長い。

Fig.6 花冠の正面。(兵庫県篠山市・渓流畔 2008.5/16)
  花冠の先は唇形となり、上唇は2裂、下唇は3裂する。
  下唇基部から筒部にかけて赤褐色の斑紋を散布し、2個の隆条があり、隆条には毛状突起が密生している。

Fig.7 果実期の萼筒。(兵庫県丹波市・溜池畔 2009.6/25)
  花後、萼筒はふくらんで、中に包まれた刮ハが成熟する。萼筒には5稜がある。

Fig.8 萼筒内にある刮ハ。(兵庫県丹波市・溜池畔 2009.6/25)
  萼筒を裂くと、中から長楕円形の刮ハが現れる。すでに刮ハは熟して裂け、中から種子が出てきていた。


Fig.9,10 種子。(兵庫県丹波市・溜池畔 2009.6/25)
  種子は長さ0.4mmで、楕円形、淡黄褐色。表面には不明瞭なしわがある。

Fig.11 実生苗。(兵庫県篠山市・溜池畔 2009.6/4)
  黄色矢印でしめしたもの。周囲のものは全てクリンソウの実生苗。

Fig.12 水中での越冬態。(兵庫県篠山市・渓流畔 2009.1/8)
  渓流中で越冬中のもの。細長く匍匐した茎の節に小さな芽をつけている。

Fig.13 成長期の草体。(兵庫県篠山市・砂防ダム内 2008.5/8)
  分枝して横に広がる。

生育環境と生態
Fig.14 山際の小湿地に生育するミゾホオズキ。(兵庫県篠山市・小湿地 2008.5/8)
画像中央に成長期のミゾホウズキが見える。山際の裸地斜面からしみ出す湧水によって成立した小湿地で、ツルチョウチンゴケの群落が発達していた。
ミゾホウズキの周囲に見えているネコノメソウのほか、ドクダミ、ニシノヤマクワガタ、シラコスゲ、アケボノソウ、オオバタネツケバナ、イグサなどとともに生育している。

Fig.15 溜池畔に生育するミゾホオズキ。(兵庫県篠山市・溜池畔 2009.6/25)
ここでは溜池の流れ込みの土砂が堆積した場所にタカネマスクサ、シラコスゲ、マツバイ、イグサ、ホソイ、ミゾソバ、ヒメジソ、コナスビ、
ドクダミ、ミズユキノシタ、ニョイスミレ、オオバチドメ、マツカゼソウなどとともに生育していた。

Fig.16 湿地化しつつある砂防ダム内に生育するミゾホオズキ。(兵庫県丹波市・溜池畔 2009.4/17)
土砂と腐植質が堆積し湿地化の初期段階と考えられる砂防ダム内に生育している。ミゾホオズキは生育期で黄色矢印で示した。
画像にはニッコウネコノメ、サワハコベ、オオバチドメといった山地の渓流を特徴付ける種が多く写っている。
砂防ダム内の地表にはゼニゴケ、ホソバミズゼニゴケ、ツルチョウチンゴケが多く見られ、腐食質が堆積する場所にはネコノメソウ、ミズハコベ、
オオバタネツケバナが多く見られる。

Fig.17 山間の集落内を流れる小川の脇で開花したミゾホオズキ。(兵庫県篠山市・小川 2009.5/16)
県中部の山間の集落でよく眼にする光景である。すぐそばでは大株のミヤマキケマンが沢山の花をつけていた。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
山崎敬, 1981. ゴマノハグサ科ミゾホオズキ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 p.103. pl.87. 平凡社
北村四郎・村田源, 2004 ゴマノハグサ科ミゾホオズキ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(T) 合弁花類』 p.151〜152. pl.46. 保育社
牧野富太郎, 1961 ミゾホオズキ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 554. 北隆館
城川四郎. 2001. ゴマノハグサ科ミゾホオズキ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 1261. 神奈川県立生命の星・地球博物館
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. ミゾホオズキ. 『六甲山地の植物誌』 192. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. ミゾホオズキ. 『近畿地方植物誌』 39. 大阪自然史センター
黒崎史平・高野温子 2006. ゴマノハグサ科ミゾホオズキ. 兵庫県産維管束植物7. 人と自然16:108. 兵庫県立・人と自然の博物館

最終更新日:28th.Feb.2014

<<<戻る TOPページ