ナガエフタバムグラ
 (ナガエノフタバムグラ)
Hedyotis diffusa  Willd. var. longipes  Nakai. アカネ科 フタバムグラ属
湿生植物
Fig.1 (兵庫県加東市・溜池畔 2011.9/19)

Fig.2 (兵庫県加東市・溜池畔 2008.10/5)

湿地や溜池畔などに生える小型で繊細な1年草。沈水状態でも長期間生育できる耐性がある。
茎はフタバムグラよりも細く繊細で、基部付近で分枝して斜上または平伏し、長さ10〜20cm。
葉は広線形〜狭披針形で、長さ1〜3cm、幅1.5〜3mm。
花柄や果柄は長さ5〜8mm。萼歯は鋭尖頭で斜開し、花冠は4裂し径約2mm、雄蕊4個。萼筒は果実期には径約3mmのほぼ球形となる。
ときに果柄が3〜5mmのフタバムグラとの中間型があり、フタバムグラと区別しがたいものがあるため、ナガエフタバムグラを変種とせず、
フタバムグラの変異の範疇とする見解もある。

フタバムグラ(var. diffusa)は花柄や果柄の長さが1〜3mmと、ごく短い。
タマザキフタバムグラH. corymbosa)は稀に見られる外来種で、花は葉腋から出た散房花序に1〜5個つき、刮ハは径約2mm。
近似種 : フタバムグラ

■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島(海外の分布は大部分不明)
■生育環境:湿地、溜池畔など。
■花期:9〜10月
■西宮市内での分布:市内では確認できていない。

Fig.3 開花したナガエフタバムグラ。(兵庫県加東市・溜池畔 2008.10/12)
  花は葉腋につく。花柄や果柄は細く長さ5〜8mm。花柄の基部には2個の小さな苞葉がある。
  昼間に開花は見られず、開花は夕方になってからであった。フタバムグラは日中に開花することから、他の地方でも同様であれば
  ナガエフタバムグラはフタバムグラとは明らかに生態的な差異があることになるが…

Fig.4 果実。(兵庫県加東市・溜池畔 2008.10/12)
  果実は刮ハでほぼ球形、径約3mm。萼裂片は宿存するがフタバムグラのように平開したり、外曲したりしない。

生育環境と生態
Fig.5 やや中栄養な溜池畔に生育するナガエフタバムグラ。(兵庫県加東市・溜池畔 2008.10/12)
池畔の半裸地状の草地でかなりの個体数が見られた。画像はハリイとともに生育している様子だが、
溜池横の残土置き場から進入したメリケンガルカヤも写っている。
他に同所的にシロイヌノヒゲ、イヌノヒゲ、オオホシクサ、スズメノコビエ、ヒメヒラテンツキ、スイラン、ヒナノカンザシなどが生育する。

Fig.6 貧栄養な溜池畔の裸地に生育するナガエフタバムグラ。(兵庫県加東市・溜池畔 2008.9/22)
増水すれば水没するような池畔の裸地に生育している。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
山崎敬, 1981. アカネ科フタバムグラ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本3 合弁花類』 p.46〜48. pl.38. 平凡社
北村四郎・村田源, 2004 アカネ科フタバムグラ属. 『原色日本植物図鑑 草本編(T) 合弁花類』 p.106〜107. pl.34. 保育社
吉田多美枝. 2001. アカネ科フタバムグラ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 1147〜1149. 神奈川県立生命の星・地球博物館
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. フタバムグラ. 『六甲山地の植物誌』 179. (財)神戸市公園緑化協会
村田源. 2004. ナガエフタバムグラ. 『近畿地方植物誌』 35. 大阪自然史センター

最終更新日:27th.Feb.2014

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