ササオカゴケ (アオモリカギハイゴケ) |
Sasaokaea aomoriensis (Paris) Kanda | ヤナギゴケ科 ササオカゴケ属 |
湿生〜沈水蘚類 環境省絶滅危惧T類(CR+EN)・兵庫県RDB Aランク種 |
Fig.1 (兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 湿地や休耕田、溜池畔などに沈水〜陸生する大型の蘚類。 茎は長さ10〜20cmで、羽状 に分枝し、葉を含めた幅2.0〜2.5mm、多くの糸状の毛葉をつける。毛葉の多くは2叉分岐する。 茎葉は長さ約2.3o、幅約1mm、卵状披針形で、凹み、葉頂は鋭頭で鎌状に曲がり、葉先付近には葉縁に小歯がある。 中肋は1本で3/4かそれ以上長い。枝の長さは5〜15mm。枝葉は披針形。 葉身細胞は先の尖った線形、長さ40〜60μ、幅3〜4μ。上部の細胞は幅広く9〜12μ。 翼部の細胞はあまり分化しない。雌雄異株で凾ヘ見つかっていない。 近似種 : ミヤマカギハイゴケ、ウカミカマゴケ、ウスキシメリゴケ、 ヤリノホゴケ ■分布:本州、九州 ・ 中国。 ■生育環境:湿地や休耕田、溜池畔など。 ■西宮市内での分布:市内では未見。県内での自生地は現在のところ2ヶ所だけである。 |
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↑Fig.2 全体。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 大型の蘚類で、茎は長さ10〜20cmで、羽状 に分枝する。枝の長さは5〜15mm。 |
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↑Fig.3 茎。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 茎は葉を含めた幅2.0〜2.5mm、多くの糸状の毛葉をつける。毛葉は10〜20倍程度のルーペでも確認できる。 |
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↑Fig.4 毛葉は多くのものが2叉する。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) |
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↑Fig.5 茎葉。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 茎葉は長さ約2.3o、幅約1mm、卵状披針形で、凹み、葉頂は鋭頭で鎌状に曲がる。 中肋は1本で3/4かそれ以上長い。 |
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↑Fig.6 茎葉の葉先。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 中肋は葉頂まで達しない。葉先付近には葉縁に小歯がある。 |
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↑Fig.7 葉身細胞。1目盛=1.6μ。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 葉身細胞は先の尖った線形、長さ40〜60μ、幅3〜4μ。この画像のものでは最大長67μ、最大幅4.8μだった。 |
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↑Fig.8 翼部。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 翼部の細胞の形は多少矩形寄りとなるが、あまり分化しない。 |
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↑Fig.9 枝葉。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 枝葉はやや小さくなり、幅も狭くなり、披針形。葉先の周縁には小歯がある。 |
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↑Fig.10 茎の横断面。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 弱い中心束が見られた。 |
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↑Fig.11 茎の細胞。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 表皮細胞はおおむね小さく厚膜。内部の細胞は大きくて薄膜。 |
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↑Fig.12 春先に伸び始めた新茎。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 新しい茎は最初直立〜斜上し、先端は鉤爪状に前に曲がる。茎はさらに伸びると倒伏する。 |
生育環境と生態 |
Fig.13 休耕田に生育するササオカゴケ。(兵庫県三田市・休耕田 2015.3/17) 里山にあるかなり経年しているだろう休耕田内の数ヶ所でマットを形成している。 休耕田内の別の場所ではコウライイチイゴケやオオハリガネゴケ、ツボゴケなどが見られる。 草本ではオトコゼリ、カキランなどの稀少種のほか、ゴウソ、タチスゲ、ヤチカワズスゲ、テンツキ、クロテンツキ、ノテンツキ、 アブラガヤ、チゴザサ、ヌマガヤ、スズメノテッポウ、イグサ、ホソイ、コウガイゼキショウ、アオコウガイゼキショウ、ヤマラッキョウ、 キツネノボタン、ムカゴニンジン、オヘビイチゴ、ワレモコウ、コモチマンネングサ、ホソバリンドウ、オミナエシ、サワヒヨドリ、 キセルアザミなど多くの湿生植物が生育している。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 岩槻善之助, 1972. ヤナギゴケ科. 岩槻善之助・水谷正美『原色日本蘚苔類図鑑』 p.204〜212. pl.29. Figs.103〜107. 保育社 兵庫県. 2010. ササオカゴケ. 『兵庫の貴重な自然 兵庫県版レッドデータブック(植物・植物群落)』. (財)ひょうご環境創造協会 山口県. 2002. ササオカゴケ. 『レッドデータブックやまぐち』. 山口県 最終更新日:22nd.Mar.2015 |