スズメノテッポウ Alopecurus aequalis  Sobol.
var. amurensis  (Komar.) Ohwi
イネ科 スズメノテッポウ属
湿生植物
Fig.1 (兵庫県篠山市・水田 2011.5/4)

水田、休耕田などの日当たりのよい湿った場所に生育する1年草または越年草。史前帰化植物とされる。
全体やわらかく、無毛、高さ20〜40cm。葉は扁平で、長さ5〜15cm、粉緑色。
花序は円柱形で、長さ3〜8cm。小穂は広卵形で、長さ3〜3.5mm、1小花からなる。
苞頴は鈍頭で、竜骨上に長軟毛があり、背面の下部に圧毛がある。
芒は長さ約3mm、細くて小穂から1mmほど出る。葯は長さ0.6〜1mm、はじめ淡黄色で、花粉放出後は橙黄色となる。

近似種は外来種が多く、以下のものがある。
ノハラスズメノテッポウ(var. aequalis)は史前帰化植物とされ畑地などに生育。小穂の長さ2〜2.5mm。芒は小穂の外にわずかにのぞく。
セトガヤA. japonicus)は史前帰化植物と考えられ、葯が白色〜淡黄色、葉舌は切形、芒は長さ8〜10mm。
オオスズメノテッポウA. pratensis)は欧州〜西アジア原産の多年草。根茎があり、葉舌は切形、葯は濃黄色〜紫褐色。
ヒメスズメノテッポウA. carolinianes)は北米原産。葉舌は鋭形、葯は長さ0.5mmで黄褐色、花序はスズメノテッポウより細い。
ノスズメノテッポウA. myosuroides)は欧州〜西アジア原産。葉舌は歯牙縁で長さ2〜4mm、葯は長さ2.3〜3mmで橙黄色。
ヒゲナガスズメノテッポウA. longearistatus)は中国東北部〜ロシア極東部原産。スズメノテッポウに似るが、芒が長く、苞頴竜骨上に長軟毛がない。
近似種 : ノハラスズメノテッポウ、 セトガヤ、 オオスズメノテッポウ、ヒメスズメノテッポウ、ノスズメノテッポウ、ヒゲナガスズメノテッポウ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 北半球の温帯域
■生育環境:水田、休耕田など。
■花期:4〜6月
■西宮市内での分布:市内全域でふつうに見られる。

Fig.2 全草標本。(西宮市・水田 2010.4/26)
  高さ20〜40cm、茎はやわらかく基部から叢生し、上部は直立する。葉、とくに葉鞘は粉白色を帯びる。

Fig.3 基部。(西宮市・水田 2010.4/26)
  茎の基部は赤紫色を帯びる。

Fig.4 葉鞘口部。(西宮市・水田 2010.4/26)
  葉鞘は縁が相重なり、口部には大きめの葉舌があり、長さ3〜4mm、鋭頭。

Fig.5 開花中のスズメノテッポウ。(兵庫県篠山市・水田 2011.5/4)
  花序は穂状で、直立する。

Fig.6 花序。(西宮市・水田 2010.4/26)
  花序は淡緑色、長さ3〜8cm、径約3.5mm、多数の小穂を密につける。
  花粉放出前の葯は淡黄色、花粉放出後の乾いた葯は橙黄色となる。

Fig.7 花序の拡大。(西宮市・水田 2010.4/26)
  短い芒を持つ小穂が密に並ぶ。

Fig.8 小穂。(西宮市・水田 2010.4/26)
  小穂は扁平な広卵形で、長さ2〜2.5mm、1小花からなり、苞頴は鈍頭で、竜骨上には斜上する長軟毛があり、背面の下部に圧毛がある。

Fig.9 護頴と小花。(西宮市・水田 2010.4/26)
  護頴は苞頴とほぼ同長、背面の基部付近から長さ3mmの芒を出す。内頴は無い。
  花粉放出前の葯は白味の強い淡黄色。

西宮市内での生育環境と生態
現在、画像はありません。

他地域での生育環境と生態
Fig.10 耕起後の水田の畦に生育するスズメノテッポウ。(兵庫県篠山市・水田 2011.5/4)
畦の水際となる側に帯状にスズメノテッポウが残り、開花している。
畦には画像に見えるノミノフスマのほか、スズメノカタビラ、ムラサキサギゴケ、オヘビイチゴ、オオジシバリ、スイバ、ヒメジョオン、
ウマノアシガタ、ハハコグサ、トウバナなど、水田畦畔雑草が生育する。

【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。)
大井次三郎, 1982 イネ科スズメノテッポウ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編)
       『日本の野生植物 草本T 単子葉類』 p.126. pls.110. 平凡社
小山鐡夫, 2004 イネ科スズメノテッポウ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p.354. pls.92. 保育社
佐藤恭子. 2001. イネ科スズメノテッポウ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 300〜301. 神奈川県立生命の星・地球博物館
藤本義昭. 1995. スズメノテッポウ属. 『兵庫県イネ科植物誌』 36〜40. 藤本植物研究所
桑原義晴, 2008 スズメノテッポウ属. 『日本イネ科植物図譜』 p.57〜60. pls.11. 全国農村教育協会
木場英久. 2001. イネ科カラスムギ連スズメノテッポウ属. 清水建美(編)『日本の帰化植物』 p.240. pls.136. 平凡社
清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七. 2001. オオスズメノテッポウ. 『日本帰化植物写真図鑑』 420. 全国農村教育協会
植村修二・勝山輝男・清水矩宏・水田光雄・森田弘彦・廣田伸七・池原直樹. 2010. ヒゲナガスズメノテッポウ・ノスズメノテッポウ.
       『日本帰化植物写真図鑑 第2巻』 312,313. 全国農村教育協会
村田源. 2004. スズメノテッポウ. 『近畿地方植物誌』 169. 大阪自然史センター
小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. スズメノテッポウ. 『六甲山地の植物誌』 224. (財)神戸市公園緑化協会
藤本義昭・布施静香・黒崎史平・高橋晃・高野温子 2008. スズメノテッポウ. 兵庫県産維管束植物10 イネ科. 人と自然19:164. 兵庫県立・人と自然の博物館

最終更新日:15th.May.2011

<<<戻る TOPページ