トキソウ | Pogonia japonica Reichb. fil. | ラン科 トキソウ属 |
湿生植物 兵庫県RDB Cランク種 |
Fig.1 (兵庫県摂津地方・溜池畔の湿地 2013.6/2) |
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Fig.2 (兵庫県摂津地方・溜池畔の湿地 2013.6/2) |
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Fig.3 (兵庫県播磨地方・溜池畔の湿原 2014.5/23) 日当たりの良い貧栄養な湿地に生える多年草。 低地や丘陵部のものは自生地の開発や山野草愛好家による採取によって激減、全国的に減少傾向にある。 根茎は横走し、肥厚せず、細長い。茎は根茎の節や先から出て、高さ10〜30cm、基部に膜質の鱗片葉があり、 ふつうの葉は1個で中央につき、披針形〜線状長楕円形で、長さ4〜10cm、幅7〜12mm、基部は細くなって翼状に茎に沿って流れ、鞘はつくらない。 花は紅紫色で、花茎の頂端に単生する。苞葉は葉状で、長さ2〜4cm。萼片は長楕円状披針形、側萼片は背萼片よりやや幅が狭い。 側花弁は狭長楕円形で萼片より少し短い。 唇弁は萼片と同長、3裂する。側裂片は3角形で翼状、中裂片は大きく、内面や縁に肉質突起が密生する。 似たものにヤマトキソウ(P. minor)があり、山地や丘陵の草地に生える。 6〜8月、花茎頂部に花をつけるが、ほとんど開かず淡紅色。 近似種 : ヤマトキソウ ■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 千島、朝鮮半島、中国 ■生育環境:日当たりのよい貧栄養な湿地など。 ■果実期:5〜7月 ■西宮市内での分布:甲山湿原に生育するほか1ヶ所の湿地で確認できただけで稀。 |
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↑Fig.4 開花したトキソウ。(兵庫県摂津地方・溜池畔の湿地 2008.5/22) 花は3個の萼片、2個の側花弁、1個の唇弁からなり、唇弁は3裂する。 花柄の基部には1個の苞葉がつく。 |
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↑Fig.5 正面から見た花。(兵庫県摂津地方・溜池畔の湿地 2008.5/22) 下唇中裂片には肉質突起が密生している。 この状態では側花弁に覆われて、内部の構造はよく把握できない。 |
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↑Fig.6 果実。(兵庫県阪神地方・湿地 2007.10/18) 果実は刮ハで直立する。 |
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↑Fig.7 花茎中部につく葉。(兵庫県摂津地方・溜池畔の湿地 2008.5/30) |
西宮市内での生育環境と生態 |
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他地域での生育環境と生態 |
Fig.8 溜池畔の湿地で生育するトキソウ。(兵庫県摂津地方 2008.5/30) モウセンゴケやスイランとともに群落をつくっているが個体数はあまり多くない。 この場所では、ここより少し高い位置にイシモチソウとノギランの小群落があり、その上部にはカキランとノハナショウブの群落がある。 さらに上部ではキキョウの群落があってホットスポットと言える場所だった。 |
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Fig.9 溜池畔の湿地で生育するトキソウ。(兵庫県摂津地方 2013.6/2) ここでは湿地上部の湧水のしみ出すあたりにモウセンゴケ、ミミカキグサ、ホザキノミミカキグサ、マネキシンジュガヤ、ミカヅキグサ、 サギソウ、イトイヌノハナヒゲ、イトイヌノヒゲなどの小型な湿生植物とともに生育している。 |
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Fig.10 溜池畔の湿原で群生するトキソウ。(兵庫県播磨地方 2014.5/23) イヌノハナヒゲ、ヌマガヤが優占する溜池畔の湿原内でトキソウの群生が見られた。湿原は湧水によって涵養される貧栄養湿地で、 同所的にコシンジュガヤ、ミカヅキグサ、ヤチカワズスゲ、ゴウソ、タチスゲ、コマツカサススキ、イヌシカクイ、サギソウ、ミズトンボ、 カキラン、モウセンゴケ、ミミカキグサ、ホザキノミミカキグサ、タヌキマメ、ワレモコウ、オミナエシ、サワヒヨドリなどが生育している。 |
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【引用、および参考文献】(『』内の文献は図鑑や一般書籍を表す。『』のないものは会報誌や研究誌。) 里見信生, 1982. ラン科トキソウ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編) 『日本の野生植物 草本T 単子葉類』 p.205. pl.184. 平凡社 村田源, 2004 ラン科トキソウ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p.25〜26. pl.6. 保育社 牧野富太郎, 1961 トキソウ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 886. 北隆館 秋山守・佐宗盈 2001. ラン科トキソウ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 502〜503. 神奈川県立生命の星・地球博物館 近藤浩文, 1982 甲山周辺の湿地植物. 『六甲の自然』 85〜87. 神戸新聞出版センター 小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. トキソウ. 『六甲山地の植物誌』 257. (財)神戸市公園緑化協会 村田源. 2004. トキソウ、ヤマトキソウ. 『近畿地方植物誌』 136. 大阪自然史センター 黒崎史平・高野温子 2009. トキソウ. 兵庫県産維管束植物11 ラン科. 人と自然20:188. 兵庫県立・人と自然の博物館 最終更新日:24th.Nov.2014 |