アマナ | Amana edulis (Miq.) Honda | ||
里山・野原の植物 | ユリ科 アマナ属 |
Fig.1 (西宮市・棚田の畦 2009.3/31) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・畑地の草地 2011.4/1) |
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Fig.3 (京都府福知山市・棚田の土手 2011.3/19) 原野に生える外皮鱗茎のある多年草。 外皮鱗茎は広卵形で、長さ3〜4cm。葉は線形で2個、粉白色を帯び、花茎の下部につき、それ以下は地中にあるため根生葉のように見える。 花茎は細く、直立し、高さ15〜20cm、上部にふつう2個の苞葉がつき、花茎先端に1花がつく。 花は日光を受けて開く。花被片は6個あり、白色、外面には暗紫色の脈があり、披針形で長さ20〜25mm、腺体はなく、花が終わると落ちる。 子房は上位。雄蕊6個で、花被片よりも短い。刮ハはやや球形で、長さ10mm内外、3稜がある。 鱗茎は食用となり、甘みがあるため「甘菜」と呼ばれるが、食べるほど生えている場所にはなかなかお目にかかれない。 それどころか、草原的環境の管理放棄により各地で減少傾向にあり、RDB指定種となっている地域も多い。 旧くはチューリップ属(Tulipa)に入れられていたが、葉や苞葉、花などの形態的特長から別属とされる。 似たものにヒロハノアマナ(A. latifolia)がある。葉幅がアマナよりも広く、中央に白線があり、苞葉はふつう3個。アマナよりはるかに稀。 またヒメニラ(A. monanthum)は花が小さく、花被片に長さは約5mmで、平開しない。 近縁種 : ヒロハノアマナ、 ヒメニラ ■分布:本州(福島県以南、石川県以西)、四国、九州、奄美大島 ・ 朝鮮半島、中国東北部 ■生育環境:草原、堤防、河川敷、畦など。 ■花期:3〜5月 |
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↑Fig.4 全草の様子。(西宮市・棚田の畦 2009.3/31) 地中にある外皮鱗茎から茎が伸び、地表の部分から2個の線形の葉を出す。 地中部分は花茎と同じくらいの長さがある。 ※ 画像のものは西宮市内の新産地記録のための標本用に1株のみ掘り上げたものです。 |
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↑Fig.5 外皮鱗茎。(西宮市・棚田の畦 2009.3/31) 外皮鱗茎は地下8〜10cm程度の場所にあり、広卵形で長さ3〜4cm、径約2cm。鱗茎を包む外皮は茶褐色で、繊維状の組織が見られる。 |
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↑Fig.6 つぼみ。(西宮市・棚田の畦 2009.3/31) つぼみは開花直前近くまで2個の苞葉に包まれており、つぼみが開き始めると苞葉も開く。 |
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↑Fig.7 アマナの内花被片と外花被片。(西宮市・棚田の畦 2009.3/31) 花被片は6個で、外花被片の外側は暗紫色の脈が広く分布し、内花被片では中央部に偏る。 内花被片の外側下部は黄橙色を帯びている。 |
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↑Fig.8 花被。(西宮市・棚田の畦 2009.3/31) 花被片の内側は白色で、下部は黄色。雄蕊6個、葯は長楕円形で赤褐色。子房は上位で、花柱とともに3稜ある。 |
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↑Fig.9 花被の核心部の拡大。(西宮市・棚田の畦 2009.3/31) 拡大して見ると、花糸は基部に向かうにつれて幅広くなっているのが判る。 |
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↑Fig.10 花後、花被はすぐに脱落する。(西宮市・棚田の畦 2009.3/31) 残った子房は早くも膨らみはじめていた。 |
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↑Fig.11 葉の上部。(西宮市・棚田の畦 2009.3/31) 葉の先端部は葉縁が合着してボート状となる。 |
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↑Fig.12 葉のみの集団。(兵庫県丹波市・落葉広葉樹林 2011.3/29) 日当たり良好でない場所に生育するものは葉のみが見られ、花茎を上げるものはごくわずかである。 葉はイネ科のもののように見えるが、少し厚味があって軟らかく、粉白色を帯び、基部は赤紫色を帯びる。 |
生育環境と生態 |
Fig.13 水田の畦に生育するアマナ。(西宮市・棚田の畦 2009.3/31) 年に数度刈り込みが行われている畦で、やや水路寄りの適潤な場所に数十株が点々と生育している。 かつては武庫川の堤防など各所でありふれた草本だったらしいが、現在では棚田周辺で細々と脈命を保っている状態である。 |
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Fig.14 草地状の農道に生育するアマナ。(西宮市・農道上 2009.3/31) Fig.12 から2キロほど離れた農道上に生育していたもの。かなりの踏みつけに遭っているがそれでも十数株が開花していた。 排水枡との段差がある部分は踏みつけに遭いにくいようで、花も痛んでいる様子がなかった。 |
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Fig.15 畑地の間の草地に群生するアマナ。(兵庫県篠山市・草地 2011.4/1) 丹波地方はアマナの生育している場所が多く、農地の草地や、春先には陽光の差すクリ園の明るい林床などでよく見られる。 日当たり良い場所では画像のように多数の開花が見られるが、半日陰となると開花が見られず、根生葉だけの個体が多くなる。 もともとは開花結実して分布を広げたはずであるから、アマナが分布域を広げた時代よりも、かなり植生の遷移が進んだのだろう。 アマナなどの日当たりよい草丈の低い草地に生育する種にとっては自生地へのネザサの進入が致命的となる。 草刈りや野焼きといった里山の人為的な営為によって生育が保証される種である。 |
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最終更新日:11th.June.2013
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