アオネカズラ | Polypodium niponicum Mett. | ||
山地・着生シダ 兵庫県RDB Cランク種 | ウラボシ科 エゾデンダ属 |
Fig.1 (兵庫県佐用郡・樹幹に着生 2011.6/8) 低山〜山地の樹幹や岩壁に着生する冬緑性シダ。 根茎は長く横走し、肉質で径4〜5mm、緑色かわずか白味を帯び、鱗片をまばらにつける。 根茎の鱗片は圧着し、広卵形、鋭尖頭、長さ1.5〜2mm、格子状で、細胞壁は暗褐色。葉柄はわら色、長さ7〜15cm、ほぼ無毛。 葉身は広披針形〜卵状長楕円形、長さ15〜20cm、幅5〜10cm、羽状に深裂する。 側裂片は15〜25対あり、水平に開出し、披針形〜線形、鈍頭〜鋭頭、幅6〜10mm、全縁。 葉質は厚く、柔らかい草質で、表面にまばらに、裏面にはやや密に短い開出毛があり、淡緑色。 葉脈ははっきり見えず、裂片の中肋に沿って1列の網目をつくり、網目の中に遊離小脈を1本含み、他の脈は遊離する。 ソーラスは中肋近くにつき、大きい。 【メモ】 アオネカズラやオシャグジデンダは園芸採取されることが多く、そのため自生地を見つけても手の届かない場所に生えていることが多い。 Fig.7のものも岩壁の手の届かない場所に生えていたもので、フラッシュが充分に届かず、あまり参考とならない画像となってしまった。 良い画像が得られたら差し替える予定でいる。 オシャグジデンダ(P. fauriei)は乾燥すると渦巻状に巻き、葉裏の毛はアオネカズラほど密に生えない。 近縁種 : オシャグジデンダ ■分布:本州(富山県と関東西部以西)、四国、九州 ・ 中国南部 ■生育環境:低山〜山地の樹幹や岩壁など。 |
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↑Fig.2 全草標本。(兵庫県神崎郡・山腹の岩壁 2012.12/11) 横走する根茎からずつ1本まばらに葉を出す。葉柄はわら色、長さ7〜15cm、ほぼ無毛。 葉身は広披針形〜卵状長楕円形、長さ15〜20cm、幅5〜10cm、羽状に深裂する。基部は狭くならない。 |
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↑Fig.3 根茎。(兵庫県神崎郡・山腹の岩壁 2012.12/11) 根茎は肉質で径4〜5mm、緑色かわずか白味を帯び、鱗片をまばらにつける。 鱗片は圧着し、広卵形、鋭尖頭、長さ1.5〜2mm。 |
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↑Fig.4 葉の表面には開出毛が見られる。(兵庫県神崎郡・山腹の岩壁 2012.12/11) |
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↑Fig.5 葉裏。(兵庫県神崎郡・山腹の岩壁 2012.12/11) ソーラスは形成されていなかった。葉裏にも表面と同様に開出毛が見られる。 |
生育環境と生態 |
Fig.6 渓流に張り出した樹幹に着生したアオネカズラ。(兵庫県佐用郡・樹幹に着生 2011.6/8) 渓流に向かって張り出している苔むしたカエデの古木の下部から中部にかけて、アオネカズラが着生していた。 古木の上部ではアオネカズラに替わって、シノブがところどころに着生している。 |
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Fig.7 岩壁に着生したアオネカズラ。(兵庫県神崎郡・山腹の岩壁 2012.12/11) 急斜面の山腹にある小岩壁の手の届かない場所にアオネカズラが着生していた。 同じ岩壁にはマメヅタ、シシラン、ヌリトラノオ、コウヤコケシノブが生育している。 |
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Fig.8 渓流畔の岩上に着生したアオネカズラ。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩場 2015.4/9) この集団は手の届く場所に生育しているが、樹木が被って林道からは見えないため、盗掘の難を逃れている。 同じ岩上にはウチワゴケ、カタヒバ、ノキシノブ、シシランが生育しており、周辺の岩場ではヒメサジラン、カラクサシダ、ヒロハヤブソテツ、 ホソバコケシノブ、ヒメハイホラゴケ、コハイホラゴケなど、高い空中湿度を好むシダ類が豊富に見られる。 |