イヌケホシダ Thelypteris dentata  (Forssk.) E.P.St.John
  市街地・路傍のシダ ヒメシダ科 ヒメシダ属
Fig.1 (西宮市・市街地の側溝 2011.5/2)

市街地や住宅地など人家周辺の路傍や側溝に分布を広げつつある常緑性シダ。
根茎は短く、斜上〜直立、まれに短く横走し、葉を叢生し、鱗片がある。
葉柄は長さ10〜30cm、わら色で有毛、基部は暗色で密に鱗片がある。
根茎と葉柄基部の鱗片は3角状披針形、長さ5〜8mm、幅約0.7mm、褐色〜淡褐色、薄い草質で辺縁に毛がある。
葉身は広披針形、中央部は幅広く、上下両方に向けしだいに狭くなり、長さ25〜40cm、幅7〜15cm。
羽片は辺縁と羽軸の2/5〜1/2まで切れ込み、基部は広いくさび形〜切形、無柄または短い柄がある。
裂片は四辺形で円頭〜鈍頭、幅2〜3mm。葉質は薄い紙質、明るい緑色〜淡黄緑色、両面ともやや密に毛がある。
葉脈は1対以上の小脈が裂片の間の凹部の薄膜より下で結合して網状脈となる。
ソーラスは裂片の辺縁と中肋の中間につき、包膜は円腎形、密に毛がある。胞子表面にはこぶ状の隆起がある。

近縁種 : ホシダ、 ケホシダ、 ミゾシダ

■分布:本州(神奈川県以西)、四国、九州、沖縄 ・ 世界の熱帯
■生育環境:市街地や住宅地など人家周辺の路傍や側溝など。

Fig.2 地上部標本。(西宮市・住宅地の側溝 2014.8/6)
  葉身は広披針形、中央部は幅広く、上下両方に向けしだいに狭くなる。葉身上部は顕著なホコ状とはならない。
  画像のものは側溝の採集しにくい場所に生えていたもので、葉柄が途中で折れてしまい、葉柄や鱗片の観察ができなかった。

Fig.3 羽片。(西宮市・住宅地の側溝 2014.8/6)
  羽片は辺縁と羽軸の2/5〜1/2まで切れ込み、基部は広いくさび形〜切形、無柄または短い柄がある。

Fig.4 裂片。(西宮市・住宅地の側溝 2014.8/6)
  裂片は四辺形で円頭〜鈍頭、幅2〜3mm。表面には毛がある。

Fig.5 中軸。(西宮市・住宅地の側溝 2014.8/6)
  中軸には開出する毛が生え、上面には溝がある。

Fig.6 羽片裏面拡大。(西宮市・住宅地の側溝 2014.8/6)
  葉脈は1対以上の小脈が裂片の間の凹部の薄膜より下で結合して網状脈となる。
  ソーラスは裂片の辺縁と中肋の中間につく。

Fig.7 包膜は円腎形、密に毛がある。(西宮市・住宅地の側溝 2014.8/6)

生育環境と生態
Fig.8 住宅街の側溝に生育するイヌケホシダ。(西宮市・住宅地の側溝 2014.8/6)
イヌケホシダは都市のヒートアイランド現象によって市街地や住宅地を中心に分布を広げているシダである。
すでに西宮市内の平地の住宅街では、かなりふつうに見られるようになっている。
生育場所はほとんどが側溝であり、カニクサやイノモトソウとともに生育していることが多い。


最終更新日:17th.Aug.2014

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