イタビカズラ | Ficus nipponica Franch. et Savat. | ||
里山・林縁・崖地の植物 | クワ科 イチジク属 |
Fig.1 (西宮市・棚田の畦 2010.7/5) 丘陵〜低山、里山の林縁や林内、崖地、石垣などに生育する常緑藤本。 枝から気根を出したり、茎がからまって木の幹や崖をよじ登る。 若枝には伏毛が密生する。托葉は3角状披針形で先は鋭くとがり、長さ3〜7mm、背面に短毛が密生する。 幼苗の葉は披針状長楕円形〜卵形、先はとがり、全縁。成木の葉の葉柄は長さ1〜2.5cm、短毛が密生し、 葉身は披針状長楕円形〜長楕円形、先はやや尾状に鋭くとがり、基部は円形または鈍形、長さ6〜13cm、幅2〜4cm、 全縁、中部の側脈は50〜60度の角度で主脈から分岐し、両面無毛、裏面はやや灰白色を帯びる。 葉腋または葉痕の脇に1〜2個の花嚢をつける。雌雄異株。雄と雌の花嚢の外観は異ならない。 花嚢の柄は長さ約1mm、上部に3個の下部総苞葉があり、果期にも残る。 花嚢は長卵形で径5〜7mm、灰白色の毛がやや密に生える。果嚢は球形で径約1cm、黒紫色に熟す。 種子は長楕円形で長さ約1.5mm。 近縁種 : オオイタビ、 ヒメイタビ ■分布:本州(福島県、新潟県以西)、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島、台湾、中国中南部 ■生育環境:丘陵〜低山や里山の林縁、林内、崖地、石垣など。 ■花期:6〜7月 |
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↑Fig.2 樹木をよじ登るイタビカズラの枝。(西宮市・棚田の畦 2010.7/5) 棚田の端の畦に植えられたカキの木の樹幹に絡み付いて枝を伸ばしている。気根を出している枝もあった。 小さな葉をもつツル性のものはテイカカズラ。他にヤマノイモも絡みついている。 |
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↑Fig.3 若枝と托葉。(西宮市・棚田の畦 2010.7/5) 若枝には上向きの伏毛が密生し、その長さには長短がある。托葉は3角状披針形で先は鋭くとがり、長さ3〜7mm、背面に短毛が密生する。 |
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↑Fig.4 葉表(上)と葉裏(下)。(西宮市・棚田の畦 2010.7/5) 葉身は披針状長楕円形〜長楕円形、先はやや尾状に鋭くとがり、基部は円形または鈍形、全縁。 中部の側脈は50〜60度の角度で主脈から分岐し、両面無毛。裏面はやや灰白色を帯びる。 |
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↑Fig.5 葉裏の拡大。(西宮市・棚田の畦 2010.7/5) 脈間と脈の縁には微細な突起があるようで、そのため葉裏は灰白色を帯びるようである。 |
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↑Fig.6 葉柄。(西宮市・棚田の畦 2010.7/5) 葉柄は赤褐色を帯び、下向きの伏毛を密生する。 |
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↑Fig.7 花嚢。(西宮市・棚田の畦 2010.7/5) 葉腋または葉痕の脇に1〜2個の花嚢をつける。 |
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↑Fig.8 花嚢の拡大。(西宮市・棚田の畦 2010.7/5) 花嚢は長卵形で、灰白色の毛がやや密に生える。 |
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↑Fig.9 花嚢(果嚢)の縦断面。(西宮市・棚田の畦 2010.7/5) 雌雄異株だが、雄株か雌株かは花嚢(果嚢)を割ってみないと解らない。 この株は種子と果肉?が充実しつつあり、雌株であった。 |
生育環境と生態 |
Fig.10 農道脇の立ち枯れた樹木を覆ったイタビカズラ。(西宮市・農道脇林縁 2010.5/13) 西宮市内では花嚢をつけているイタビカズラに出くわすことは少ない。 この個体もかなり大きくなっているが、花嚢をつけているのを見たことはなく、かなりの大木にならないと花嚢は見れないようだ。 |
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Fig.11 岩壁をはい登るイタビカズラ。(西宮市・岩壁 2011.3/3) やや乾き気味の岩壁をイタビカズラがはい登っていた。 岩壁の下にはオオバノイノモトソウやヤブランが生育し、イタビカズラの生育する場所ではマメヅタが見られる。 岩壁上部の傾斜の緩い場所にはカタヒバが群生していた。 |