イワデンダ Woodsia polystichoides  D.C.Eaton
  里山・山地・着生シダ イワデンダ科 イワデンダ属
Fig.1 (兵庫県養父市・路傍の岩上 2014.5/14)

日当たりよい山麓などの岩上や石垣などに生育する夏緑性シダ。
根茎は短く、斜上か直立、葉を叢生し、鱗片を密生する。
葉柄は長さ5〜10cm、赤褐色、頂端に斜めに関節があり、毛と鱗片を散生し、基部に鱗片が多い。
根茎と葉柄基部の鱗片は披針形〜長卵形で、鋭尖頭、ほぼ全縁かまばらに縁毛があり、淡褐色。
葉身は狭披針形〜線形、鋭尖頭、単羽状複生、下部はやや狭まり、長さ10〜25cm、幅2〜4cm。
羽片は披針形〜長楕円状披針形、鋭頭〜鈍頭、無柄、最下前側に耳片があり、ほぼ全縁かわずかに鋸歯縁、やや硬い草質、
濃黄緑色、表裏ともに有毛、裏面には線形の鱗片も混じる。
ソーラスは羽片の辺縁寄りに1列に並び、包膜はコップ状、ソーラスをすっぽり包み、不規則に細裂して長い縁毛がある。
染色体数はn=41,2n=82で2倍体。

イヌイワデンダW. intermedia)は葉柄に鱗片が少なく、中軸や羽片裏の鱗片はほとんど毛状。岩上などにごく稀。
コガネシダW. macrochlaena)は中軸や羽軸には毛だけあって鱗片はない。羽片はほぼ左右対称、基部に耳片はない。岩上に稀。
ツルデンダPolystichum craspedosorum)は常緑性。ソーラスは羽片の縁寄りの前側につき、包膜は円形薄膜で宿存する。中軸先端に無性芽をつくる。
近似種 : イヌイワデンダ、 コガネシダ、 ツルデンダ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 樺太、千島、朝鮮半島、台湾、東アジア
■生育環境:山地のやや湿った岩上、斜面など。

Fig.2 全草標本。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2014.6/15)
  根茎は短く、斜上から直立、葉を叢生する。葉柄は長さ5〜10cm。葉身は単羽状複生、狭披針形〜線形。

Fig.3 葉柄。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2014.6/15)
  葉柄は赤褐色、毛と鱗片を散生し、基部に鱗片が多い。

Fig.4 基部鱗片。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2014.6/15)
  葉柄基部の鱗片は披針形〜長卵形で、鋭尖頭、ほぼ全縁かまばらに縁毛があり、淡褐色、圧着気味についている。

Fig.5 葉。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2014.6/15)
  葉身は狭披針形〜線形、鋭尖頭、単羽状複生、下部はやや狭まり、長さ10〜25cm、幅2〜4cm。

Fig.6 羽片と中軸。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2014.6/15)
  羽片は披針形〜長楕円状披針形、鋭頭〜鈍頭、無柄、最下前側に耳片があり、ほぼ全縁かわずかに鋸歯縁、やや硬い草質、
  濃黄緑色で、有毛。中軸表面には毛が多い。

Fig.7 羽片裏面と中軸裏。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2014.6/15)
  羽片裏面は有毛で、線形の鱗片も混じる。中軸裏には毛と線形〜披針形の毛が混じる。
  ソーラスは羽片の両側辺縁寄りに1列に並ぶ。

Fig.8 ソーラス。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2014.6/15)
  包膜はコップ状、ソーラスをすっぽり包み、不規則に細裂して長い縁毛がある。

Fig.9 フィドルヘッドと若い葉。(兵庫県養父市・渓流畔の岩上 2014.5/14)
  フィドルヘッドは、淡緑色の地色に淡色〜淡褐色の鱗片に覆われる。若い葉は柔らかく、産毛に覆われているように見える。

生育環境と生態
Fig.10 渓流畔の岩上に生育するイワデンダ。(兵庫県但馬地方・渓流畔の岩上 2014.5/14)
凝灰岩質の大きな転石が多い渓流畔岩上の土の溜まったくぼみに、多数のイワデンダが生育していた。
同じ岩上にはチャセンシダ、ジュウモンジシダの子株、ヨモギ、ヒメレンゲ、オオバギボウシが生育している。

Fig.11 山間棚田の石垣に生育するイワデンダ。(兵庫県養父市・棚田の石垣 2014.5/14)
山間棚田の上部の石垣の間に、イワデンダが点々と生育していた。
石垣にはコアカソ、ウツギ、トウバナ、コナスビ、イヌワラビ、トラノオシダなどが見られた。


最終更新日:29th.Jun.2014

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