イワガネゼンマイ Coniogramme intermedia  Hieron.
  里山・山地・林床のシダ ホウライシダ科 イワガネゼンマイ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.4/15)
低地〜山地、里山の林床や岩上に生育する大型の常緑性シダ。
根茎は匍匐し、径5〜8mm、やや密に茶褐色で披針形、膜質の鱗片をつける。
葉柄は葉身とほぼ同長で、長さ20〜50cm、淡いわら色、背軸側が暗紫色となることがあり、上部は緑色を帯び、無毛。
葉身は卵状長楕円形、長さ40〜60cm、基部は2回羽状、上部は単羽状に分岐し、側羽片と似た頂羽片がある。
羽片や小羽片は狭長楕円形、縁は鋸歯縁、先は急に狭くなって尾状に伸び、やや厚い草質。
側脈は1〜2回分岐し、平行にならんで網目をつくらず、その先端は葉縁に達する。
胞子嚢群(ソーラス)は葉脈に沿って長く伸び、端は葉縁から5mmくらい離れた線にそろう。
近縁種 : イワガネソウ

■分布:北海道、本州、四国、九州、屋久島、小笠原 ・ 樺太、南千島、東アジア、東南アジア、ヒマラヤ、インドシナ
■生育環境:低地〜山地、里山の林床や岩上など。

Fig.2 地上部標本。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.4/15)
  葉柄は葉身とほぼ同長。葉身は卵状長楕円形、基部は2回羽状、上部は単羽状に分岐する。
  頂羽片は側羽片とほぼ同形で、狭長楕円形。

Fig.3 葉柄基部。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.4/15)
  葉柄には鱗片は少なく、基部付近に茶褐色で披針形、膜質の鱗片をつける。
  葉柄は淡いわら色、背軸側が暗紫色となることがあり、ふつう無毛。

Fig.4 羽片。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.4/15)
  羽片の先は急に狭くなって尾状に伸びるのが特徴。イワガネソウでは尾状に伸びない。

Fig.5 尾状に伸びた羽片の先。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.4/15)

Fig.6 葉脈。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.4/15)
  側脈は1〜2回分岐し、平行にならんで網目をつくらず、その先端は鋸歯の中に入るか、鋸歯の底にまで達する。
  イワガネソウでは主脈周辺の葉脈が網目をつくり、脈は縁まで達しない。

Fig.7 羽片裏面のソーラス。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.4/15)
  胞子嚢群(ソーラス)は葉脈に沿って長く伸び、端は葉縁から5mmくらい離れた線にそろう。

Fig.8 展葉間もない葉。(兵庫県篠山市・植林地の林床 2013.5/9)

生育環境と生態
Fig.9 植林地の渓流畔の岩壁の上で生育するイワガネゼンマイ。(兵庫県篠山市・渓流畔の岩壁 2011.4/15)
苔むした多湿な岩壁の上端から、垂れ下がるようにイワガネゼンマイが生育していた。
同所的にリョウメンシダ、キジノオシダ、チャルメルソウ、ミヤマカタバミが生育していた。

Fig.10 林道脇の多湿な半日陰斜面に生育するイワガネゼンマイ。(西宮市・林道脇 2011.6/23)
多湿なシダ類の繁茂する林道脇の北向き林縁斜面に成長途上のイワガネゼンマイの小型個体が生育していた。
同所的にはイノデ、ヤマヤブソテツ、ヤブソテツ、キヨタキシダ、ヤマイヌワラビ、ヒロハイヌワラビ、シケシダ、イヌガンソク、リョウメンシダ、
イノモトソウ、オオバノイノモトソウなどのほか、コアカソ、ミツバアケビ、テイカカズラなどが見られた。
斜面上部のより暗い場所では大株が見られ、イノデ、ヤマヤブソテツ、ハカタシダといった、いずれも大型の個体とともに生育している。


最終更新日:9th.Mar.2014

<<<戻る TOPページ