イワガネソウ Coniogramme japonica  (Thunb.) Diels
  山地・林床のシダ ホウライシダ科 イワガネゼンマイ属
Fig.1 (西宮市・渓流畔の岩壁 2009.4/7)
丘陵〜山地の湿った林床や渓流畔に生育する常緑性シダ。
根茎は長く横走し、緑色で、淡褐色の鱗片を密生する。
葉は根茎からまばらに生じ、葉柄は長さ50〜60cm、淡緑色で、背面は黒褐色を帯び、無毛平滑で硬い。
葉身は多少革質で、長さ40〜50cm、幅30〜35cm、長卵形〜広卵形、羽状に分裂し、3〜5対の羽片を生じ、下部1〜2対の羽片はさらに分裂する。
羽片は線状長楕円形、先はしだいに狭くなって鋭尖頭、基部は広いくさび形で短柄があり、縁には細鋸歯がある。
葉脈は羽片の中脈近くに斜めに網目をつくり、それから外方には斜めに平行して走り、葉縁に達しないまま太くなって急に終わる。
胞子嚢群(ソーラス)は支脈に沿ってつき、ほぼ葉裏一面を覆い、黄色、苞膜はない。

イワガネゼンマイC. intermedia)は羽片の先が急に細くなって尾状に伸び、支脈は網目をつくらず平行に縁まで達する。
近縁種 : イワガネゼンマイ

■分布:北海道(南西部)、本州、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島、台湾、中国、インドシナ
■生育環境:丘陵〜山地の湿った林床や渓流畔など。

Fig.2 地上部標本。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.2/10)
  葉身は長卵形〜広卵形、3〜5対の羽片を生じ、下部1〜2対の羽片はさらに分裂する。

Fig.3 羽片。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.2/10)
  羽片の先はしだいに細くなり、鋭尖頭。よく似たイワガネゼンマイの羽片の先は急に細くなって尾状となる。

Fig.4 羽片の縁。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.2/10)
  縁には細鋸歯が並ぶ。脈は縁まで達せず、太くなって終わる。

Fig.5 羽片の脈。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.2/10)
  中脈近くは斜めの網状脈となる。
  多湿な環境に生育しているためか、表面には蘚苔類が着生している。

Fig.6 胞子嚢群。(兵庫県篠山市・渓流畔 2011.2/10)
  胞子嚢群(ソーラス)は支脈に沿ってつき、苞膜はない。

Fig.7 斑入り品。(岡山県真庭市・林道脇 2013.8/3)
  稀に見られる。

生育環境と生態
Fig.8 渓流畔の岩壁に生育するイワガネソウ。(西宮市・渓流畔の岩壁 2009.4/7)
湧水のしたたる花崗岩の露頭にナキリスゲ、ヤマイタチシダ、ヤブソテツなどとともに着生している。

Fig.9 まばらな植林地林床に群生するイワガネソウ。(兵庫県篠山市・植林地林床 2011.7/8)
多湿で緩斜面にあるまばらな植林地の林床でイワガネソウの群落が見られた。
同所的にイワヒメワラビ、ベニシダ、ヤワラシダ、ミヤマフユイチゴ、クサイチゴ、ドクダミ、ラショウモンカズラ、ツヅラフジ、カキドオシ、
ムロウテンナンショウ、ヤブニンジン、ツルカノコソウ、ミヤマカタバミ、ヨシノアザミなどが生育する。


最終更新日:21th.Mar.2014

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