イワヒバ | Selaginella tamariscina (P.Beauv.) Spring | ||
山地・着生シダ | イワヒバ科 イワヒバ属 |
Fig.1 (西宮市・岩場 2013.6/24) 低山〜山地の岩上に着生する常緑性シダ。 担根体や根がからまってをつくり、高さ20cmに達することもあり、まれに分枝する。 仮幹の頂端には平面的に分岐する葉身状の枝を何十枚も放射状につける。 この分枝は斜上し、2〜3回羽状に分岐し、卵形または長卵形、鋭頭、多くは長さ10〜20cm、乾けば内側に巻き込み、乾性的性質をもつ。 葉身状の分岐の軸は葉とともに幅2〜3mm、密に葉をつけ、上面は暗緑色、下面は淡緑色から灰緑色となる。 腹葉は卵形で左右非対称、鋭尖頭、基部上側は円く、中肋は下面ではっきりしており、辺縁は微鋸歯縁、先端には毛状の突起がある。 胞子嚢穂は小枝に1個頂生し、四角柱状、長さ0.5〜2cm、径約2mm。胞子葉は微鋸歯縁、先端は長く伸びて毛状突起に終わる。 染色体数は外国のもので2n=18の報告がある。江戸時代から観葉植物として栽培され、様々な品種がある。 カタヒバ(S. involvens)、イヌカタヒバ(S. moellendorffii)、ツルカタヒバ(S. flagellifera) はいずれも仮幹はつくらないため、区別は容易である。 近縁種 : カタヒバ、 イヌカタヒバ ■分布:北海道、本州、四国、九州、沖縄 ・ 東アジア〜東南アジア ■生育環境:低山〜山地の岩上、岩壁など。 |
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↑Fig.2 全草。(神戸市・岩場 2014.1/17) 仮幹の頂端に平面的に分岐する葉身状の枝を何十枚も放射状につける。 |
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↑Fig.3 胞子嚢穂を付けた個体。(神戸市・岩場 2011.11/17) 夏の終わり頃から胞子嚢穂を伸ばし始め、秋に成熟する。 |
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↑Fig.4 普通の枝(左)と胞子嚢穂をつけた枝(右)。(西宮市・岩場 2014.10/16) 胞子嚢穂は枝先に単生する。 |
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↑Fig.5 枝の一部拡大。(西宮市・岩場 2014.10/16) 腹葉(枝外側の葉)は卵形で左右非対称、鋭尖頭、基部上側は円く、辺縁は微鋸歯縁、先端には毛状の突起がある。 |
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↑Fig.6 胞子嚢穂。(西宮市・岩場 2014.10/16) 胞子嚢穂は四角柱状、長さ0.5〜2cm、径約2mm。 |
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↑Fig.7 胞子嚢穂の拡大。(西宮市・岩壁 2014.10/16) 胞子葉は微鋸歯縁、先端は長く伸びて毛状突起に終わる。 |
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↑Fig.8 ソーラス。(西宮市・岩壁 2014.10/16) ソーラスは胞子葉の内側に1個できる。ソーラスは大胞子嚢と小胞子嚢があるが外見からは区別できない。 |
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↑Fig.9 小胞子。(西宮市・岩壁 2014.10/16) 小胞子は半球状に見え、表面には細かいしわが見える。小胞子は小胞子嚢内に多数作られる。 | ||
↑Fig.10 岩場に見られた若い個体群。(神戸市・岩場 2014.1/17) |
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↑Fig.11 乾くと葉を丸めて乾燥に耐える。(神戸市・岩場 2014.1/17) |
生育環境と生態 |
Fig.12 岩場に生育するイワヒバ。(神戸市・岩場 2011.11/17) 県内ではチャートの岩場では見られず、硬い流紋岩質や安山岩質の岩場で見られることが多い。 ここでは流紋岩質の岩場でナキリスゲ、ノガリヤス、イブキシモツケ、アキノキリンソウ、ノコンギクなどとともに生育していた。 |
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Fig.13 岩上に群生するイワヒバ。(西宮市・岩壁 2015.5/24) 流紋岩質の河畔の岩場に密に群生している集団。 ここではトダシバ、テイカカズラ、マルバハギ、サツキ、ヨメナ、アオヤギバナなどとともに生育している。 |