カタヒバ | Selaginella involvens (Sw.) Spring | ||
山地・着生シダ | イワヒバ科 イワヒバ属 |
Fig.1 (西宮市・岩壁 2011.3/3) 低山〜山地の岩上、樹幹などに着生する常緑性シダ。 地下茎は岩上の土中や樹幹のコケの間を匍匐し、径0.5〜1mm程度、淡黄緑色でときに紅色を帯び、まばらに黄白色の葉をつける。 地下茎は先端にむけて次第に地上茎となり、その基部からは地下茎となる匍匐枝が出る。 地上茎は3〜4回羽状に分岐し、葉身状に広がって卵形〜長卵形、鋭頭、長さ10〜25cm、幅5〜10cm、 柄に相当する部分が葉身に相当する部分とほぼ同じ長さとなり、担根体はつけない。 葉は主軸にまばらにつき、基部では圧着されてほぼ同形で卵形であるが、上部から小枝にかけては密につき、2形となる。 小枝は葉とともに幅1.2〜2mm。腹葉は開出してつき、やや不整の卵形〜広卵形で、鋭頭、基部はやや浅い心形、 上縁基部は微鋸歯があり、長さ約1.5mm。背葉は小さく、長楕円形、鋭尖頭、上面で中肋がはっきりみえ、微鋸歯縁。 胞子嚢穂は小枝に1個頂生し、四角柱状、長さ0.5〜3cm、径約1.2mm。 胞子葉は4列に並び、同形で3角状卵形、鋭尖頭で芒状に伸び、基部近くは微鋸歯縁。 近縁種 : イワヒバ、 イヌカタヒバ ■分布:本州(宮城県以南)、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮南部、台湾、中国、熱帯アジア ■生育環境:低山〜山地の岩上、樹幹など。 |
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↑Fig.2 全草標本。(西宮市・岩壁 2011.3/3) 匍匐する地下茎と、葉柄状と中軸状となった地上茎があり、地上茎は小枝とともに葉身状に広がり、3〜4回羽状に分岐する。 |
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↑Fig.3 地下茎と不定根。(西宮市・岩壁 2011.3/3) 担根体は持たない。冬期であるためか、紅色を帯びている。 |
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↑Fig.4 葉のつき方。(西宮市・岩壁 2011.3/3) 中軸状の茎についた葉。葉は主軸にまばらにつき、背葉列と腹葉列がそれぞれ2列ずつあり、互生する。 |
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↑Fig.5 中軸状の茎と小枝。(西宮市・岩壁 2011.3/3) 分岐した小枝には葉が密につく。 |
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↑Fig.6 小枝の拡大。(西宮市・岩壁 2011.3/3) 背葉はよく似たイヌカタヒバより小さく、縁に膜質の白色部分や縁毛はなく、先が芒状とならない。 |
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↑Fig.7 胞子嚢穂は小枝の先に生じる。(西宮市・岩壁 2011.3/3) |
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↑Fig.8 胞子嚢穂の拡大。(西宮市・岩壁 2011.3/3) 胞子嚢穂は四角柱状。胞子葉は4列に並び、同形で3角状卵形、鋭尖頭で芒状に伸び、基部近くは微鋸歯縁。 |
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↑Fig.9 若い株。(西宮市・岩壁 2011.3/3) |
生育環境と生態 |
Fig.10 岩壁にハコネシダとともに着生するカタヒバ。(西宮市・岩壁 2011.3/3) カタヒバは壁面に地下茎をはわせ、ハコネシダは岩の割れ目に根を下ろしている。 |
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Fig.11 岩上に群生するカタヒバ。(西宮市・岩壁 2011.3/3) カタヒバの他にも、周囲には多数のシダ類が生育し、ウチワゴケ、コウヤコケシノブ、ハコネシダ、ハカタシダ、ヒメカナワラビ、 クマワラビ、フモトシダ、ハカタシダなどが見られた。 |
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Fig.12 古い石垣でコバノヒノキシダとともに生育するカタヒバ。(神戸市・石垣 2013.6/28) ヒメハイゴケやトサカホウオウゴケなどの蘚類に覆われた多湿な場所の古い石垣に生育しているもの。 |