オニユリ Lilium lancifolium  Thumb.
  里山・草地の植物 ユリ科 ユリ属

Fig.1 (兵庫県篠山市・水田脇の土手 2010.7/31)

Fig.2 (兵庫県小野市・溜池土堤 2011.7/31)

Fig.3 (神戸市・農地の土手 2014.7/27)

里山の棚田の土手、水田の畦、林縁草地、河川堤防などに生育する多年草。
鱗茎は卵球形、黄白色で径5〜8cm、やや苦味がある。
茎は高さ1〜2mにもなり、暗紫色で、若い時には白色の綿毛がある。
葉は多数つき、披針形で長さ5〜15cm、腋に紫褐色の珠芽がつく。
花は数個〜20個内外が横向きに開く。
花被片は橙赤色で濃色の斑点があり、披針形で長さ7〜10cm、強く反り返る。基部の内面には蜜腺がある。
雄蕊は6個、葯は線形で丁字着、内向き。花粉は黒褐色。多くは3倍体(2n=36)で、果実は稔らない。

【メモ】 本種はヒガンバナ、シャガ、ヤブカンゾウなどと同様、3倍体で結実が見られないことから、古くに中国から渡来したものではないかとする説がある。
     国内で元から自生しているものは対馬産のものだけであるとする説があり、2倍体であり、結実もする。
近縁種 : コオニユリ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国
■生育環境:里山の棚田の土手、水田の畦、林縁草地、河川堤防など。
■花期:7〜8月

Fig.4 茎と葉。(兵庫県篠山市・水田脇の土手 2010.7/31)
  茎は直立し、暗紫色。葉は披針形で、らせん状に互生し、葉腋に珠芽がつく。

Fig.5 葉腋についた珠芽(むかご)。(兵庫県篠山市・水田脇の土手 2010.7/31)
  珠芽は卵円形で、紫褐色。よく似たコオニユリは珠芽をつくらない。

Fig.6 開花最盛期のオニユリ。(兵庫県篠山市・水田脇の土手 2010.7/31)
  花は茎頂に花柄を互生して多数つき、花柄の基部と中部にそれぞれ披針形の苞葉がつく。

Fig.7 花被。(兵庫県篠山市・水田脇の土手 2010.7/31)
  花被は径約10cm、下に向いて開き、開花中には強い芳香がある。
  花被片6個は披針形でいちじるしく反り返り、内面は暗紫色の斑点を散布し、基部よりに多数の不整な突起がある。
  雄蕊6個は雌蕊よりも少し長く、花糸の先に葯が丁字状につく。雌蕊の柱頭は紅色を帯びる。

Fig.8 成長期。(兵庫県篠山市・道端の草地 2011.4/29)
  近くにはシンテッポウユリらしき成長途上の個体も生育していたが、オニユリはシンテッポウユリやタカサゴユリよりも葉幅が広い。
  溝に際にはムカゴから発芽した単葉を持つ当年苗が見られる。

生育環境と生態
Fig.9 農道土手に点在するオニユリ。(兵庫県篠山市・農道の土手 2010.7/31)
ススキ、クズなどの繁る草深い農道の土手にオニユリが点在していた。
年に1度程度は草刈りが行われているようで、クズはそれほど被植しておらず、オニユリとともにノアザミ、アキカラマツ、ワレモコウ、クルマバナ
などの草原性植物も生育していた。


最終更新日:11th.Nov.2014

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