オオヒメワラビ Deparia okuboana  (Makino) M.Kato
  里山・山地・林縁・林床のシダ イワデンダ科 オオシケシダ属
Fig.1 (兵庫県篠山市・渓流畔 2014.7/31)

Fig.2 (兵庫県篠山市・道路脇の水路壁面 2015.9/14)

山地の林縁、林床などに生育する夏緑性シダ。
根茎は短く横走し、鱗片をつけ、葉を相接してつける。
葉柄は長さ26〜80cm、淡緑色〜わら色で、基部に鱗片をつけ、上方はほとんど無毛。
根茎と葉柄基部の鱗片は披針形、全縁、長さ1cm、幅2mmに達し、褐色。
葉身は三角状、卵形または卵状披針形、鋭尖頭、長さ35〜80cm、幅25〜50cm、2〜3回羽状深裂、草質。
羽片は披針形〜広披針形、鋭尖頭、無柄か下部の羽片には短い柄があり、長さ15〜40cm、深裂し、羽軸には狭い翼がある。
小羽片は長楕円形、鋭尖頭〜鈍頭、長さ3〜8cm、幅7〜15mm、羽状に深裂する。
裂片は斜上し、長楕円形、全縁〜波状縁で鈍頭、幅2〜4.5mm。
中軸、羽軸、小羽軸は裸出するか、まれに暗褐色で毛状の鱗片がある。葉脈は裂片で羽状に分岐し、側脈は単生。
ソーラスは裂片の中肋と辺縁の中間につき、円形、長楕円形、円腎形、J形と多様で径0.5〜1.5mm。
包膜は薄く、辺縁は裂けている。染色体数は'n'=120の3倍体無融合生殖。

オオヒメワラビモドキD. unifurcata)は2回羽状深裂。葉柄や中軸には小さくて暗褐色〜黒色の鱗片がある。
ミドリワラビD. viridifrons)は小羽片の裂片はやや深い鈍鋸歯縁、裂片の脈は分岐する。
近縁種 : オオヒメワラビモドキ、 ミドリワラビ

■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国(中・南西部)、インドシナ
■生育環境:山地の林床や林縁など。

Fig.3 地上部標本。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.7/31)
  葉身は三角状、卵形または卵状披針形、鋭尖頭、2〜3回羽状深裂、草質。

Fig.4 葉柄下部の鱗片。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.7/31)
  葉柄基部の鱗片はまばらにつき、披針形、全縁、褐色。

Fig.5 葉身下部。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.7/31)
  最下羽片の小羽片は羽片下半から基部にかけて、小さくなっていく。

Fig.6 羽片と小羽片。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.7/31)
  羽片は披針形〜広披針形、鋭尖頭、無柄か下部の羽片には短い柄があり、深裂する。
  小羽片は長楕円形、鋭尖頭〜鈍頭、長さ3〜8cm、幅7〜15mm、羽状に深裂する。

Fig.7 羽軸には狭い翼がつく。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.7/31)
  裂片は斜上し、長楕円形、全縁〜波状縁で鈍頭。

Fig.8 中軸の鱗片。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.7/31)
  中軸には、基部が透明で暗褐色、毛状の鱗片が見られた。

Fig.9 小羽片裏面。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.7/31)
  羽軸、小羽軸には毛状の鱗片がまばらに見られた。葉脈は裂片で羽状に分岐し、側脈は単生。
  ソーラスは裂片の中肋と辺縁の中間につく。

Fig.10 包膜。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.7/31)
  包膜は薄く、小さく、径0.5〜1.5mm、辺縁は裂けている。形状は円形、長楕円形、円腎形、J形と多様。

Fig.11 展葉間も無い小型の個体。(兵庫県丹波市・渓流畔 2013.5/31)

生育環境と生態
Fig.12 渓流畔の斜面に生育するオオヒメワラビ。(兵庫県篠山市・渓流畔 2014.7/31)
植林地の脇を流れる渓流畔の半日陰の斜面に、多くのシダ類とともにオオヒメワラビが生育していた。
ここではイワガネソウ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダ、イノデ、サイゴクイノデ、オオバノハチジョウシダ、クサソテツ、ヤマイヌワラビ、
ミゾシダ、ゲジゲジシダ、クジャクシダ、タチシノブなどのシダ類、コモチイラクサ、レモンエゴマ、オオバタネツケバナ、ドクダミ、クサイチゴ、
コモチマンネングサ、ヤマキツネノボタン、マツカゼソウ、ミズタビラコ、ミゾホオズキ、ヤマルリソウ、アキチョウジ、ツリフネソウ、コブナグサ、
ニシノホンモンジスゲ、ミヤマカンスゲ、ナキリスゲなどとともに生育していた。


最終更新日:5th.Aug.2016

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