オオキヨズミシダ | Polystichum tsussimense (Hook.) J. Sm. var. mayebarae (Tagawa) Kurata |
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山地・林床のシダ | オシダ科 イノデ属 |
Fig.1 (兵庫県篠山市・林床斜面 2011.5/6) |
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Fig.2 (西宮市・渓流畔の岩上 2013.1/29) 山地の林床に生育する常緑性シダ。 オニイノデとヒメカナワラビの中間の形質を持つ。 葉柄基部の鱗片は卵状長楕円形、やわらかい紙質、褐色で中心部は濃色。 葉柄はふつう葉身よりも短く、鱗片は披針形と線形のものが混じり、褐色。 羽片は幅2cmを超え、裂片に鋭鋸歯があり、羽軸の外半分では小羽片の基部が流れて翼となる。 ソーラスは葉の先端や外側からつきはじめ、小羽片の中肋と縁の中間かやや中肋寄りにつき、苞膜は大きい。 基本変種のヒメカナワラビ(P. tsussimense)は葉柄と葉身がほぼ同長。羽片が羽軸から独立し、ソーラスは葉の下方や内側からつきはじめる。 オニイノデ(P. tsussimense)は中肋の鱗片が披針形。ソーラスは中肋と辺縁の中間につく。稀。 近縁種 : ヒメカナワラビ、 オニイノデ ■分布:本州(福島県南端と関東地方以西)、四国、九州(中・北部) ・ 中国 ■生育環境:山地の林床など。 |
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↑Fig.3 地上部標本。(兵庫県篠山市・林床斜面 2011.4/19) 葉柄はふつう葉身よりも短い。葉身は2回羽状複葉、披針形、明るい緑色。 |
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↑Fig.4 葉柄の鱗片。(兵庫県篠山市・林床斜面 2011.4/19) 葉柄の鱗片は披針形と線形のものが混じり、褐色。 |
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↑Fig.5 葉身中軸の鱗片。(兵庫県篠山市・林床斜面 2011.4/19) 中軸や羽軸の鱗片は線形で、黒褐色、基部の周辺には褐色の微毛が生える。 |
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↑Fig.6 葉。(兵庫県篠山市・林床斜面 2011.4/19) 葉は硬い草質で、光沢があり、緑色で、良く似たヒメカナワラビよりも明るい色をしている。 |
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↑Fig.7 羽片。(兵庫県篠山市・林床斜面 2011.4/19) 羽軸の外半分では、最下のものを除いて小羽片の基部が流れて翼となる。 |
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↑Fig.8 葉裏。(兵庫県篠山市・林床斜面 2011.4/19) 胞子嚢群は葉の先端や外側からつきはじめる。良く似たヒメカナワラビでは葉や羽片の下方からつきはじめる。 |
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↑Fig.9 胞子嚢群(ソーラス)。(兵庫県篠山市・林床斜面 2011.4/19) 胞子嚢群は小羽片の中肋と縁の中間かやや中肋寄りにつく。画像のものは、苞膜と胞子嚢が既に脱落している。 |
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↑Fig.10 フィッドルヘッド。(兵庫県篠山市・林床斜面 2013.4/25) 地色は淡緑色で、黒褐色の鱗片に覆われる。 フィドルヘッドの展開の仕方はイノデの仲間に良く似ていて、ある程度伸びると軸が反り返ってから展葉する。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 2次林の林床斜面に生育するオオキヨズミシダ。(兵庫県篠山市・林床斜面 2011.4/19) 落葉広葉樹林内のヤブツバキの根際に生育している。 林床は多湿で、イチリンソウ、ミヤマカタバミ、ネザサ、オクマワラビ、ヤブソテツ(広義)、コタニワタリなどが見られた。 |