オオバクサフジ Vicia pseudo-orobus  Fisch. et Mey.
  里山・草地の植物 
  兵庫県RDB Bランク種
マメ科 ソラマメ属
Fig.1 (神戸市・棚田の土手 2013.9/17)

Fig.2 (神戸市・棚田の土手 2013.9/17)

丘陵〜低山の草地に生育する多年草。
茎には稜があり、ほとんど無毛で、長さ80〜150cmとなる。
葉は茎に互生してつき、ごく短い柄があって、長さ7〜20cm、先は分枝する巻きひげとなる。
小葉は互生または対生し、4〜10枚、ふつう卵形で、長さ3〜5cm、幅1.5〜3cm。
托葉は半切卵形で、長さ3〜5mm、下側に伸びる歯牙があるか、または細くて2裂する。
花は青紫色、長さ13〜15mm、総状花序は長さ4〜7cmで多数の花をつける。
小花柄は細く、長さ4〜5mm、まばらに軟毛がある。
萼はやや斜形、長さ4〜5mm、萼裂片はほぼ同長で、広3角形、長さ約1mmで、萼筒より短い。
豆果は狭楕円形、長さ2.5〜3cm、幅約6〜7mm、無毛で、長さ4〜5mmの柄があり、数個の種子を入れる。
種子は球形〜楕円形、径3〜4mmで黒色。

【メモ】 関西では分布は局所的な上、草地環境の減少とともに自生地も少なくなっており、絶滅危惧種に指定されている府県が多い。
近縁種 : ヨツバハギ、ナンテンハギ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国、ウスリー、アムール、シベリア東部
■生育環境:丘陵〜低山の草地など。
■花期:8〜10月

Fig.3 葉。(神戸市・棚田の土手 2013.9/17)
  葉は茎に互生してつき、複葉、ごく短い柄があって、先は分枝する巻きひげとなる。
  小葉は互生または対生し、4〜10枚、ふつう卵形。

Fig.4 托葉と茎。(神戸市・棚田の土手 2013.9/17)
  茎には稜があり、ほとんど無毛。托葉は半切卵形で広く、下側に伸びる歯牙があるか、または細くて2裂する。

Fig.5 巻きひげを他物に巻きつける。(神戸市・棚田の土手 2013.9/17)
  茎ははじめ斜上するが、葉先の巻きひげを他物に巻きつけて、茎を分枝しながら倒伏するように広がっていく。

Fig.6 総状花序。(神戸市・棚田の土手 2013.9/17)
  総状花序は長さ4〜7cmで青紫色の花を多数つける。小花柄は細く、長さ4〜5mm、まばらに軟毛がある。

Fig.7 オオバクサフジの花。(神戸市・棚田の土手 2013.9/17)
  花は蝶形花で5個の花弁がある。開花中の花は雄蕊と雌蕊が、下側の竜骨弁に沿って突出する。

Fig.8 開花直後の若い豆果。(神戸市・棚田の土手 2013.9/17)
  結果率は低いようで、花序全体の花が結果することはないようだ。

Fig.9 熟した豆果。(京都府亀岡市・溜池土堤 2013.10/8)
  豆果は狭楕円形、長さ2.5〜3cm、幅約6〜7mm、無毛で、長さ4〜5mmの柄があり、熟すと赤褐色となる。

Fig.10 開いた豆果と種子。(京都府亀岡市・溜池土堤 2013.10/8)
  一つの鞘に2〜4個の種子が入っているものが多かった。種子は球形〜楕円形、径3〜4mmで黒色。

生育環境と生態
Fig.11 棚田の斜面草地に広がるオオバクサフジ。(神戸市・棚田の土手 2013.9/17)
ススキ、ヨモギ、セイタカアワダチソウ、ヒヨドリバナなどの高茎草本が茂る土手であるが、オオバクサフジの生育は旺盛なようで、
これらの草本を覆うように広がって生育していた。

Fig.12 草刈り後に伸長・開花するオオバクサフジ。(神戸市・農道脇 2013.9/17)
ネザサが刈り取られた後に他の草本よりもいち早く伸びて、開花していた。

Fig.13 溜池土堤に生育するオオバクサフジ。(京都府亀岡市・溜池土堤 2013.10/8)
ススキとネザサが優占し、アキカラマツ、ワレモコウ、ヒヨドリバナ、ヨモギなどが生育する溜池土堤に、カナムグラ、センニンソウ、
クズなどのつる性草本とともに多くの生育良好な個体が見られた。


最終更新日:5th.Feb.2014

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