オシダ | Dryopteris crassirhizoma Nakai | ||
山地・林床のシダ | オシダ科 オシダ属 |
Fig.1 (兵庫県香美町・落葉広葉樹林の林床 2014.10/9) |
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Fig.2 (兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25) 温帯林のやや湿った林床に生育する夏緑性シダ。 根茎は太く、短く、直立して塊状となり、葉を叢生し、鱗片をつける。 鱗片は長卵形〜線形、先端は尾状に長く伸び、縁には毛状突起がまばらにあり、大きいものは4cmを超え、光沢のある黄褐色〜黒褐色、 やや硬い膜質、鱗片は葉柄や中軸にも密につき、上のものほど小さく、幅が狭くなる。 葉柄は短く、長さ10〜25cm、葉身の1/3〜1/5の長さがある。 葉身は2回羽状深裂から全裂、倒披針形、長さ60〜120cm、幅20〜30cm、下部の羽片はしだいに短くなり、最下のものは最大のものの1/3以下。 羽片は狭披針形、幅1.5〜2.5cm、基部は広いくさび形〜切形で無柄、鋭尖頭、羽状に深裂〜全裂し、羽軸の表面に細い鱗片がある。 小羽片(裂片)は狭長楕円形、多少鎌状に曲がり、鈍頭〜円頭、鈍鋸歯縁、幅3〜5mm。 葉脈は表面ではっきりくぼんで浅い溝をつくり、小脈は2叉する。葉質は軟らかい革質、濃緑色〜緑色、裏面は白緑色。 ソーラスは上部の羽片にだけつき、小羽片の中肋寄りに並び、苞膜は全縁。染色体数n=41の2倍体。 ミヤマクマワラビ(D. polylepis)は鱗片が黒褐色〜黒色でごく薄い紙質、裂片の幅1.5〜3mmで、小脈は単生し、ソーラスは辺縁寄りにつく。 オシダを片親とする推定自然雑種に以下のものがある。 フジオシダ(D. × watanabei)はオクマワラビとの雑種。近畿地方以北。 フジクマワラビ(D. × fujipedis)はクマワラビとの雑種。中部地方・近畿地方。 イノウエシダ(D. × yasuhikoana)はオオクジャクシダとの雑種。京都府。 以上のうちフジオシダのみが兵庫県から数ヶ所で記録がある。 近縁種 : ミヤマクマワラビ、 ミヤマベニシダ ■分布:北海道、本州、四国(剣山) ・ 朝鮮半島、中国東北部、シベリア東部 ■生育環境:温帯林のやや湿った林床など。 |
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↑Fig.3 地上部標本。(兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25) 葉柄は短く、葉身は2回羽状深裂から全裂、倒披針形、長さ60〜120cm、幅20〜30cm、下部の羽片はしだいに短くなる。 葉質は軟らかい革質、濃緑色〜緑色、裏面は白緑色。光沢のある黄褐色〜黒褐色の鱗片が、葉柄や中軸に密につく。 |
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↑Fig.4 葉柄基部の鱗片。(兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25) 鱗片は長卵形〜線形、先端は尾状に長く伸び、縁には毛状突起がまばらにあり、光沢のある黄褐色〜黒褐色、やや硬い膜質。 |
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↑Fig.5 葉柄。(兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25) 葉柄は短く、長さ10〜25cm、葉身の1/3〜1/5の長さがある。葉柄にも鱗片が密につく。 |
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↑Fig.6 羽片。(兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25) 羽片は狭披針形、幅1.5〜2.5cm、基部は広いくさび形〜切形で無柄、鋭尖頭、羽状に深裂〜全裂する。 |
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↑Fig.7 小羽片(裂片)。(兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25) 小羽片は狭長楕円形、多少鎌状に曲がり、鈍頭〜円頭、鈍鋸歯縁、幅3〜5mm。 葉脈は表面ではっきりくぼんで浅い溝をつくり、小脈は2叉する。表面には毛状に縮れた幅の狭い鱗片がある。 |
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↑Fig.8 羽片裏の拡大。(兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25) 羽軸裏には長卵形〜披針形の鱗片が密生し、小羽片裏面には縮れた毛状の鱗片がある。 |
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↑Fig.9 ソーラスは上部の羽片につく。(兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25) |
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↑Fig.10 小羽片裏面のソーラス。(兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25) ソーラスは小羽片の中肋寄りに並び、小羽片の先端部にはつかない。 |
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↑Fig.11 苞膜は全縁。(兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25) |
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↑Fig.12 フィッドルヘッド。(兵庫県香美町・温帯林の林床 2015.4/30) フィドルヘッドは大きく、先が尾状になった大きな褐色の鱗片に密に覆われ、地色は淡緑色。 |
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↑Fig.13 展葉しはじめたオシダ。(兵庫県養父市・林道斜面 2014.5/8) |
生育環境と生態 |
Fig.14 ブナ林の林床に生育するオシダ。(兵庫県養父市・ブナ林の林床 2014.6/25) ブナ林が発達する山腹林縁ちかくの湿った緩斜面にオシダが点在していた。 周辺にはサカゲイノデ、ミヤマイタチシダ、コバノイシカグマ、カンスゲ、ヤマアジサイ、ツタウルシ、ウワバミソウ、サンインネコノメ、 ミズタビラコなどが生育していた。 |
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Fig.15 落葉広葉樹林の林床に生育するオシダ。(兵庫県香美町・落葉広葉樹林の林床 2014.10/9) ブナ、トチノキ、カエデ類などが混生する平坦地にオシダが群生していた。 周辺にはサカゲイノデ、ジュウモンジシダ、オクマワラビ、エンレイソウ、ユキザサ、ヤマミゾソバ、ミヤマタニソバ、ニリンソウ、サンカヨウ、 オククルマムグラ、モミジガサなどが生育していた。 |