オトコエシ (オトコオミナエシを含む) |
Patrinia villosa (Thunb.) Juss. | ||
里山・草地・道端の植物 | オミナエシ科 オミナエシ属 |
Fig.1 (西宮市・林道脇 2011.9/6) 丘陵〜山地の日当たり良い草地や道端に生育する多年草。 全体に毛が多く、茎は高さ60〜100cm、株元から長い走出枝を出して新苗をつくる。 葉は対生し、頭大羽状に深裂するか、または鈍鋸歯縁。 花は集散花序に小さい白花が多数つき、花序は散房状につく。花冠は5裂し、径約4mmで距はない。 果実は倒卵形で、長さ2〜3mm、果下の小苞が円心形の翼となって取り巻く。 【メモ】 オミナエシとの種間雑種にオトコオミナエシ(P. × hybrida)がある(Fig.7参照)。 両種の混生地に見られ、花は両親種よりも小さく淡黄色と白色のものが混じり、花序全体が淡緑色に見える。 近縁種 : オミナエシ、 キンレイカ ■分布:北海道、本州、四国、九州、奄美 ・ 朝鮮半島、中国 ■生育環境:丘陵〜山地、里山などの日当たり良い草地や道端、攪乱にあった原野など。 ■花期:8〜10月 |
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↑Fig.2 茎下方の葉。(西宮市・林道脇 2011.9/6) 葉は対生してつき、茎下方の葉の多くは頭大羽状に深裂する。 |
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↑Fig.3 茎上部につく葉。(兵庫県篠山市・林縁の草地 2010.10/23) 茎、葉ともに毛が多い。茎上部の葉は卵状楕円形で、基部は葉柄へと流れる。 |
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↑Fig.4 花序は散房状につく。(西宮市・林道脇 2011.9/6) |
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↑Fig.5 花。(兵庫県篠山市・林縁の草地 2011.10/23) 花冠は5裂し、白色、径約4mm。筒部は短く、内側に毛がある。雄蕊4個。雌蕊は1個で雄蕊よりも短い。 |
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↑Fig.6 果実形成期。(兵庫県篠山市・林道脇 2011.11/9) 子房は3室あるが、結実するのは1室のみで、これはオミナエシでも同様である。 果実は倒卵形で、長さ2〜3mm、果下の小苞が円心形の翼となって取り巻く。 |
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↑Fig.7 オトコオミナエシ。(西宮市・林道脇 2011.9/6) オトコエシとオミナエシの種間雑種。花は小さく、白色の花に淡黄色の花が混じる。 林道脇にはオトコエシとオトコオミナエシが生育し、すぐ近くの棚田の土手にオミナエシが生育していた。 |
生育環境と生態 |
Fig.8 林道脇の草地に生育するオトコエシ。(兵庫県篠山市・林縁の草地 2011.10/23) 強度の草刈りに遭う林道脇の半裸地状の草地に、刈り込まれて草丈の低いオトコエシが多数生育していた。 度重なる草刈りで草丈は低いが、株元から出る走出枝には影響がなく、広い範囲にわたって栄養繁殖した多くの個体が見られた。 同所的にチガヤ、メリケンカルカヤ、ニオイタチツボスミレ、アリノトウグサ、サワオトギリ、オトギリソウ、センブリ、ヒメジョオン、ヨモギ、 ニガナ、ノアザミなどがまばらに生育していた。 |
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Fig.9 鉱山跡にある溜池畔の草地に群生するオトコエシ。(兵庫県姫路市・溜池畔の草地 2011.9/11) 鉱山跡の溜池畔の草地にオトコエシの群生が見られた。 オトコエシはオミナエシよりも人為的に攪乱を受ける頻度が高い場所に見られるが、重金属に対しても耐性があるようである。 付近には製錬滓と思われる溶けた跡のある岩石が散乱した、半裸地状の草地となっており、生育の悪いススキが優占し、ヘビノネゴザ、 ヒカゲスゲ、ノイバラ、ノギラン、オトギリソウ、タカトウダイ、オオニシキソウ、セイタカアワダチソウが生育し、構成種は少ない。 |