オウレンシダ Dennstaedtia wilfordii  (T.Moore) Christ ex C.Chr.
  山地・岩場・林床のシダ 兵庫県RDB Bランク種 コバノイシカグマ科 コバノイシカグマ属
Fig.1 (兵庫県阪神地方・岩場 2014.7/3)

Fig.2 (兵庫県阪神地方・渓流畔の岩上 2015.10/8)

山地の岩場や林床の腐植土上などに見られる夏緑性シダ。
根茎は長く匍匐し、径約4mm、褐色の軟毛がある。
葉柄は長さ5〜30cm、下部が光沢のある黒褐色、上部はわら色〜淡緑色、赤褐色になることも多い。
葉身は2回羽状複葉〜3回羽状深裂、長楕円状披針形、長さ10〜30cm、幅3〜8cm。羽片は広卵形、短い柄がある。
裂片は深く切れ込み、毛はほとんどないか、まばらにあり、鋭頭〜やや鈍頭の歯牙がある。
ソーラスは裂片の先につき、苞膜はコップ状、長さ幅ともに約1mm、無毛。染色体数n=31,2n=62。

イヌシダD. hirsutaは葉や中軸に淡褐色の長い毛を密につけ、苞膜も有毛。
近縁種 : イヌシダ

■分布:北海道、本州、四国、九州 ・ 朝鮮半島、中国、アムール、インド
■生育環境:山地の岩場や林床の腐植土上など。

Fig.3 地上部標本。右は裏面。(兵庫県阪神地方・岩場 2014.7/3)
  葉柄は長さ5〜30cm、下部は光沢のある黒褐色。葉身は2回羽状複葉〜3回羽状深裂、長楕円状披針形、長さ10〜30cm。

Fig.4 羽片と中軸。(兵庫県阪神地方・岩場 2014.7/3)
  羽片は広卵形、短い柄がある。中軸はわら色〜淡緑色、ほとんど無毛だった。

Fig.5 裂片。(兵庫県阪神地方・岩場 2014.7/3)
  裂片は深く切れ込み、倒卵形〜倒披針形、鋭頭〜やや鈍頭の歯牙がある。毛はほとんど見えない。葉脈は全て遊離する。

Fig.6 羽片の裏面。(兵庫県阪神地方・岩場 2014.7/3)
  ソーラスは裂片の先につく。

Fig.7 裂片裏面の拡大。(兵庫県阪神地方・岩場 2014.7/3)
  苞膜はコップ状で無毛で、鋸歯縁。裂片裏面は扁平な短毛がまばらに生えている。

生育環境と生態
Fig.8 岩場下部の湿った場所に生育するオウレンシダ。(兵庫県阪神地方・岩場 2014.7/3)
暖帯上部の花崗岩の湿った岩場下部にオウレンシダが点在していた。
岩の上部では同属のイヌシダが生育し、下方ではヤマイヌワラビ、ホソバシケシダ、クサコアカソ、クサアジサイ、ヌカボシソウが見られた。
かなり多湿な場所で、周辺にはハクモウイノデ、キヨタキシダ、ホソバテンナンショウ、オタルスゲ、ヒメアギスミレ、アカショウマなどが生育する。

Fig.9 岩上に生育するオウレンシダ。(兵庫県阪神地方・岩場 2015.10/8)
六甲山地の深い谷筋に露出した花崗岩質の岩上にオウレンシダが生育していた。
岩場の斜面ではツルデンダ、イワタバコ、アカショウマなどが生育し、岩屑が溜まった箇所にオウレンシダ、クジャクシダ、小型のクサコアカソ、
クサアジサイ、シラネセンキュウなどが生育していた。


最終更新日:15th.July.2014

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