ウスゲミヤマシケシダ | Deparia mucilagina M.Kato | ||
山地・林床のシダ | イワデンダ科 オオシケシダ属 |
Fig.1 (兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) 山地の陰湿な林床に生育する夏緑性シダ。 根茎は径5cmに達し、分岐せず、葉を叢生する。葉柄は太く、長さ40cmを超えることもあり、基部は粘性を帯び、褐色。 葉柄基部の鱗片は圧着気味につき、薄膜質、卵状披針形、粘液に包まれ、葉柄上部に鱗片はないか、圧着した小さい鱗片がつく。 葉はやや2形、胞子嚢群をつける葉は夏に展出し、直立、やや長く大きい。 葉身は長さ45〜90cm、裂片は開出かやや斜上し、2mm以下の間隔で隔てられ、裏面に腺毛はない。 胞子嚢群は裂片の辺縁と中肋の中間につき、長楕円形ときに鈎形。苞膜はかたく、ほぼ全縁。 ミヤマシケシダ(D. pycnosora)は葉柄が短く、葉身と同長〜1/3ほど。葉身裏面に腺毛はない。北海道、本州 ハクモウイノデ(D. albosquamata)は葉柄が太く、葉身の長さの1/2以下。葉柄の鱗片は明瞭。本州、四国、九州。 近縁種 : ミヤマシケシダ、 ハクモウイノデ ■分布:北海道、本州 ■生育環境:山地の陰湿な林床など。 |
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↑Fig.2 植物体基部は粘液に覆われる。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.7/19) |
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↑Fig.3 地上部標本(胞子葉)。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) 柄は太く、長く、長さ40cmを超えることもある。葉はやや2形となり、画像のものは胞子葉である。 葉身は長楕円形〜倒披針形、2回羽状深裂、先は急に狭くなり鋭尖頭、基部に向かってしだいに狭くなる。 |
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↑Fig.4 葉柄基部。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) 葉柄基部は太く、卵状披針形で褐色の鱗片が圧着気味につき、粘液に覆われる。 |
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↑Fig.5 葉柄。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) 葉柄中〜上部では鱗片はないか、あっても小さなものが圧着してつく。 |
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↑Fig.6 羽片は下方に向かって小さくなり、最下羽片は極端に小さくなる。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) |
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↑Fig.7 中軸中部。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) 1〜2細胞が列をなした短い下向きの屈毛が散生していた。 |
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↑Fig.8 中軸裏の拡大。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) ほとんど平滑で、単細胞列の毛と、褐色を帯びた極小さい瘤粒が見える。 |
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↑Fig.9 羽片。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) 羽片は線状披針形、裂片は開出またはやや斜上してつき、2mm以下の間隔で隔たられる。 |
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↑Fig.10 裂片。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) 裂片は長楕円形、鈍頭〜円頭、全縁〜鋸歯縁。 |
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↑Fig.10 羽片裏面。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) 胞子嚢群は裂片の辺縁と中肋の中間につき、長楕円形ときに鈎形。 |
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↑Fig.11 裂片裏面。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) 裏面に腺毛は見られない。時期的に早かったようで、ソーラスは弾けておらず、包膜辺縁は確認できなかった。 |
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↑Fig.12 中軸の毛の変異。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.8/2) この個体では1〜4細胞が列をなした毛がかなり多く生えていた。 |
生育環境と生態 |
Fig.13 温帯林下の渓流畔に生育するウスゲミヤマシケシダ。(兵庫県香美町・渓流畔 2015.7/19) 春遅くまで残雪の残る湿度の高い小さな沢沿いに、数個体のウスゲミヤマシケシダが生育していた。 周辺にはリョウメンシダ、ジュウモンジシダ、ミゾシダ、シケシダ、キヨタキシダ、ヒロハイヌワラビなどのシダ類のほか、サンインネコノメ、 マルバネコノメソウ、ウワバミソウ、ヤマアジサイ、クサアジサイ、ギンバイソウ、サンカヨウ、イケマ、ヒナノウスツボ、タニタデ、ミズタビラコ、 ミゾホオズキ、ソバナ、オオモミジガサ、タイミンガサ、モミジガサ、オタカラコウなどが生育していた。 |