ハクモウイノデ Deparia albosquamata  M.Kato
  山地・林床のシダ イワデンダ科 オオシケシダ属
Fig.1 (神戸市・しめった林床 2011.7/11)

Fig.2 (西宮市・落葉広葉樹林の林床 2014.10/19)

山地の湿った林床に生育する夏緑性シダ。
根茎は径5cmに達し、分岐せず、葉を叢生する。葉柄は太く、長さ22cm以下と短く、葉身の長さの1/3、ながくとも半長程度、
わら色か赤紫色を帯び半透明の鱗片と毛を密につけ、基部の鱗片は披針形〜卵状披針形、褐色〜暗褐色。
葉はやや2形、胞子嚢群をつける葉は夏に展出し、直立、やや長く大きい。
葉身は長さ65cmに達し、長楕円形〜倒披針形、2回羽状深裂、先は急に狭くなり鋭尖頭、基部に向かってしだいに狭くなり、基部羽片は極端に短い。
羽片は線状披針形、先は急に狭くなり鋭尖頭。裂片は重なり合って見えることがあり、長楕円形、鈍頭〜円頭、全縁から鋸歯縁、裏面には時に腺毛が出る。
葉面は淡緑色で柔らかく薄い草質。中軸、羽軸、裂片中肋は有毛。
胞子嚢群は裂片の辺縁と中肋の中間につき、単生か重なってつき、長楕円形ときに鈎形。苞膜はかたく、ほぼ全縁。

ミヤマシケシダD. pycnosora)は葉柄が短く、葉身と同長〜1/3ほどで、鱗片は基部に密生。葉身裏面に腺毛はない。北海道、本州。
ウスゲミヤマシケシダD. mucilagina)は葉柄が太く、長く、40cmを超えることがあり、基部は粘性を帯びる。北海道、本州。
近縁種 : ミヤマシケシダ、 ウスゲミヤマシケシダ

■分布:本州、四国、九州
■生育環境:山地の湿った林床など。

Fig.3 地上部標本(胞子葉)。(神戸市・湿った林床 2011.8/13)
  葉柄は太く、長さ22cm以下と短く、長くとも葉身の半長以下で、わら色か赤紫色を帯びる。
  葉身は長楕円形〜倒披針形、2回羽状深裂、先は急狭くなり鋭尖頭、基部に向かってしだいに狭くなる。
  葉はやや2形となり、画像のものは胞子嚢群をつける葉である。

Fig.4 葉柄基部。(神戸市・湿った林床 2011.8/13)
  葉柄基部は太く、披針形〜卵状披針形で褐色〜暗褐色の鱗片がつく。

Fig.5 最下羽片。(神戸市・湿った林床 2011.8/13)
  最下羽片は極端に小さくなり卵形、やや下向きとなる。

Fig.6 羽片。(神戸市・湿った林床 2011.8/13)
  羽片は線状披針形、先は急に狭くなり鋭尖頭。

Fig.7 羽片の拡大。(神戸市・湿った林床 2011.8/13)
  羽片は羽状に深裂し、羽軸や裂片中肋には毛が生える。
  裂片はときに重なり合って見えることがあり、長楕円形、鈍頭〜円頭、全縁から鋸歯縁。

Fig.8 裂片裏面の胞子嚢群。(神戸市・湿った林床 2011.8/13)
  胞子嚢群は裂片の辺縁と中肋の中間につき、単生か重なってつき、長楕円形ときに鈎形。

Fig.9 苞膜はかたく、ほぼ全縁。(神戸市・湿った林床 2011.8/13)

Fig.10 中軸には白毛が生える。(神戸市・湿った林床 2011.7/11)

Fig.11 胞子嚢群を持たない葉。(神戸市・湿った林床 2011.7/11)
  葉は最初、胞子嚢群を持たないものが、地表に広がるように出る。

Fig.12 胞子嚢群をつけた葉を展出しはじめたハクモウイノデ。(神戸市・湿った林床 2011.7/11)

Fig.13 胞子嚢群をつけた葉を直立するハクモウイノデ。(神戸市・林縁 2011.7/11)
  夏になると、胞子嚢群のついた、やや長く大きな葉を展出する。

生育環境と生態
Fig.14 湿った半日陰の林縁部に点在するハクモウイノデ。(神戸市・林縁 2010.5/21)
林縁から歩道えいたる湿った斜面に点在し、スギナ、ヤマイヌワラビ、キヨタキシダ、ゼンマイ、ムラサキケマン、シンミズヒキ、ツユクサ、
ゲンノショウコ、ニョイスミレ、アケビ、フジなどとともに生育している。

Fig.15 沢の源頭部のシダ群落中に生育するハクモウイノデ。(神戸市・多湿の林床 2011.7/11)
やや高標高地の樹木に覆われた沢の源頭部に多くのシダ類とともに生育していた。
非常に多湿な環境で、ハクモウイノデのほか、キヨタキシダ、ヤマイヌワラビ、ホソバイヌワラビ、ホソバシケシダなどのシダ類が生育していた。

Fig.16 落葉樹林中に生育するハクモウイノデ。(西宮市・林床 2014.10/19)
川沿いの転石の多い傾斜面にハクモウイノデが点在していた。
周辺にはクマワラビ、ジュウモンジシダ、ムロウマムシグサ、ナツトウダイ、アキチョウジ、ツルニガクサなどが生育していた。


最終更新日:29th.Oct.2014

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