ハリガネワラビ | Thelypteris japonica (Bak.) Ching | ||
低山・里山・林縁・林床のシダ | ヒメシダ科 ヒメシダ属 |
Fig.1 (西宮市・棚田の石垣 2011.6/23) |
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Fig.2 (神戸市・林床 2011.7/11) 丘陵〜低山、里山の林縁から林床にふつうな夏緑性シダ。 根茎は短く、横走か斜上し、径3mm前後、毛と鱗片がある。 葉柄は長さ30〜50cm、赤褐色、有毛だが毛は多くなく、基部は光沢のある黒褐色で、鱗片もある。 根茎と葉柄基部の鱗片は3角状長楕円形、鋭尖頭、長さ約5mm、幅約1.7mm、やわらかい草質で濃褐色、無毛。 葉身は3角状長楕円形、鋭頭、基部はほぼ切形か、最下羽片はやや下向きにつき、長さ25〜40cm、幅15〜25cm、中軸は赤褐色、有毛。 羽片は5/6くらいの深さまで切れ込み、基部は最下のものでくさび形、他はほぼ切形、無柄、最下前側の小羽片がやや大きくなることもある。 裂片は長楕円形、円頭〜鈍頭、長さ8mm、幅3mmに達する。葉質は草質、緑色から淡黄緑色、葉の各軸や葉縁は有毛。 葉裏にははじめ黄色で、後に橙色、標本では暗褐色となる球形で無柄の腺がある。 胞子嚢群は裂片の辺縁寄りにつき、苞膜は腎円形、径約1mmとやや大きく、有毛、辺縁は全縁で腺がある。 胞子表面には網状の隆起がある。 近縁種 : ヤワラシダ、 ハシゴシダ ■分布:本州、四国、九州 ・ 朝鮮南部、中国 ■生育環境:丘陵〜低山、里山の林縁から林床など。 |
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↑Fig.3 地上部標本。(西宮市・棚田の石垣 2011.6/23) 葉柄は赤褐色、有毛だが毛は多くなく、基部は光沢のある黒褐色で、まばらに鱗片がある。 葉身は3角状長楕円形、鋭頭、基部はほぼ切形か、最下羽片はやや下向きにつく。 |
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↑Fig.4 葉柄基部。(西宮市・棚田の石垣 2011.6/23) 光沢のある黒褐色。鱗片は3角状長楕円形、鋭尖頭、やわらかい草質で濃褐色、無毛。 |
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↑Fig.5 葉柄の拡大。(西宮市・棚田の石垣 2011.6/23) 葉柄は赤褐色、有毛、鱗片は下方にまばらにつく。 |
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↑Fig.6 最下羽片。(西宮市・棚田の石垣 2011.6/23) 最下羽片は水平に開くか、やや下向きにつき、基部はくさび形となる。 |
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↑Fig.7 中軸。(西宮市・棚田の石垣 2011.6/23) 中軸は赤褐色を帯び、毛が生える。 |
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↑Fig.8 羽片。(西宮市・棚田の石垣 2011.6/23) 羽片は5/6くらいの深さまで切れ込み、羽軸や脈上には毛がある。 裂片は長楕円形、円頭〜鈍頭、全縁。 |
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↑Fig.9 羽片の裏面。(西宮市・棚田の石垣 2011.6/23) 裂片の辺縁には毛がある。胞子嚢群は裂片の辺縁寄りにつき、苞膜は腎円形。 |
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↑Fig.10 苞膜と腺体。(西宮市・棚田の石垣 2011.6/23) 苞膜には毛のほかに短い腺毛と腺体がある。裂片裏面には大きめの黄色の腺体、ごく小さな透明の腺体がある。 裂片中脈(画像右端)には毛と短い腺毛が生えている。 |
生育環境と生態 |
Fig.11 棚田の石垣に散生するハリガネワラビ。(西宮市・棚田の石垣 2011.6/23) ハリガネワラビは林床に多いシダだが、山間に開かれた棚田の土手や石垣などにも出現する。 向陽地で日射が強いためか葉縁が裏側に反り返り、林床で見かけるものとは印象が異なる。 周辺には用水路脇にはシケシダ、シシガシラ、ゼンマイが多く、畦にはヒメシダが群生する。 西宮の棚田ではこれらの種が出現することが多い。 |