ヤワラシダ | Thelypteris laxa (Franch. et Sav.) Ching | ||
里山・路傍・林縁のシダ | ヒメシダ科 ヒメシダ属 |
Fig.1 (兵庫県三田市・林縁 2011.7/3) |
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Fig.2 (兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) 山野の路傍や林縁などに普通な夏緑性シダ。全体に単細胞の短い毛があるが、なかには無毛に見えるほど少ないものもある。 根茎は横走し、径2.5mm以上、鱗片と毛がある。葉はやや相接してつき、葉柄は長さ(7〜)17〜30(45)cm、わら色か淡緑色、 紫色を帯びることもあり、毛はあるが早落性、基部はわずかにふくれて暗色、鱗片と宿存性の毛がある。 根茎や葉柄基部の鱗片は3角状披針形、長さ2mmを超え、幅約0.5mm、膜質で褐色、背面に毛がある。 葉身は2回羽状深裂〜全裂、広披針形、長さ30cm、幅15cm程度がふつうであるが、変異が多く、基部に向けてしだいに狭くなる。 葉質は草質〜やわらかい紙質、黄緑色。羽片は短い柄があり、広披針形〜披針形、基部にむけてしだいに狭まる。 裂片は長楕円形、円頭〜鈍頭、大きいもので長さ1.7cm、幅7mm、辺縁には不規則な鋸歯がある。側脈は単条か2叉し、先端は裂片の縁に達しない。 胞子嚢群は裂片の中肋と辺縁の中間につき、円形。苞膜は腎円形、辺縁がやや不整、径1mm以下、有毛。 ハリガネワラビ(T. japonica)に似るが、ハリガネワラビの裂片には鋸歯はなく、苞膜は大きく辺縁寄りにつき腎円形、側脈は縁に達する。 ハシゴシダ(T. glanduligera)は裂片が鋭頭で鋸歯はなく、苞膜は辺縁寄りにつき腎円形、側脈は縁に達する。 近縁種 : ハリガネワラビ、 ハシゴシダ ■分布:本州(東北地方中部以西)、四国、九州 ・ 済州島、台湾、中国南部 ■生育環境:山野の路傍や林縁など。 |
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↑Fig.3 全草標本。(兵庫県三田市・林縁 2011.7/3) 根茎は横走する。葉柄はわら色か淡緑色だが、画像のように紫色を帯びるものもあり、変異に富む。 葉身は2回羽状深裂〜全裂、広披針形、大きさには変異が多く、基部に向けてしだいに狭くなる。 羽片は互いに重なり合うことはなく、上下の間隔は広く空く。 |
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↑Fig.4 根茎と葉柄基部。(兵庫県三田市・林縁 2011.7/3) 根茎や葉柄基部の鱗片は3角状披針形、膜質で褐色、鱗片とともに宿存性の毛が生える。 |
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↑Fig.5 羽片は基部に向かって狭まる。(兵庫県三田市・林縁 2011.7/3) |
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↑Fig.6 羽片裏面。(兵庫県三田市・林縁 2011.7/3) 脈上に毛が多い。裂片は長楕円形、円頭〜鈍頭、辺縁には不規則な鋸歯がある。 胞子嚢群は裂片の中肋と辺縁の中間につく。 |
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↑Fig.7 苞膜。(兵庫県三田市・林縁 2011.7/3) 苞膜はごく小さく腎円形で、毛が生えている。 |
生育環境と生態 |
Fig.8 社寺内の林縁斜面に群生するヤワラシダ。(兵庫県篠山市・林縁 2011.7/8) ヤワラシダは根茎を横走し、斜面などに群生することが多い。 ここでは草刈りの行き届いた社寺内の林縁の斜面に群生しており、同所的にヒロハイヌワラビ、イヌシダ、シケシダが生育し、ミヤマフユイチゴ、 ユキノシタ、ドクダミ、トウバナ、ヒメドコロ、イノコヅチ、タチツボスミレが見られた。 |