ヘラシダ Deparia lancea   (Thunb.) R.Sano
  山地・林床・着生シダ イワデンダ科 オオシケシダ属
Fig.1 (兵庫県丹波市・岩壁 2013.5/31)
山地の陰湿な林床や渓流畔の岩壁に生育する常緑性シダ。
根茎は長く横走し、径1〜2mm、鱗片がある。鱗片は線状披針形〜線形、全縁、黒褐色、長さ2.5〜3mm、幅0.8mm。
葉柄は長さ3〜25cm、わら色〜暗色、基部に鱗片があり、上部は無毛。
葉身は単葉、披針形〜線形、鋭尖頭、全縁から浅い波状縁、長さ10〜30cm、幅2.5cm以下、革質、無毛、上面は濃緑色で、下面は淡色。
中肋は下面に隆起し、上面ではわずかにくぼむ。葉脈ははっきり見えず、小脈は平行に伸び、先端は葉縁に達する。
ソーラスは脈に沿って並び、線形、長さは不同、中肋付近から葉縁近くまで伸びるものが多い。苞膜は全縁、背中合わせになるものも混じる。
染色体数n=80,120,2n=160,240で4倍体、6倍体だが、2n=200で減数分裂が不規則という報告もある。

ノコギリヘラシダD. × tomitaroanum)はヘラシダとナチシケシダの雑種。葉身は下部にいくほど深く羽状に切れ込む。
ヒトツバシケシダD. × lobatocrenata)はヘラシダとホソバシケシダの推定種間雑種。葉質は薄く、葉にはやや2形がある。
近縁種 : ノコギリヘラシダ、 ヒトツバシケシダ

■分布:本州(関東地方以西)、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島、中国、台湾、東南アジア
■生育環境:山地の陰湿な林床や渓流畔の岩壁など。

Fig.2 全草標本。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.5/31)
  明瞭な葉柄があり、葉身は単葉、披針形〜線形、鋭尖頭、全縁から浅い波状縁、革質、無毛、上面は濃緑色で、下面は淡色。

Fig.3 根茎と葉柄基部。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.5/31)
  根茎は横走し、鱗片がある。鱗片は線状披針形〜線形、全縁、黒褐色。

Fig.4 葉柄基部の鱗片。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.5/31)

Fig.5 葉裏と胞子嚢群(ソーラス)。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.5/31)
  中肋は裏面に隆起する。ソーラスは脈に沿って並び、線形。

Fig.6 苞膜。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.5/31)
  苞膜は全縁。

生育環境と生態
Fig.7 渓流畔の岩壁に群生するヘラシダ。(兵庫県丹波市・岩壁 2013.5/31)
渓流が滝となっている横の多湿の岩壁にヘラシダが群生していた。ヘラシダは根茎を横走して群生することが多い。
同じ岩壁にはウチワゴケ、ハイホラゴケ、オニカナワラビ、トウゴクシダ、サンショウソウが生育し、周辺にはホソバイヌワラビ、ヤマイヌワラビが多い。


最終更新日:3rd.June.2013

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