ヒキヨモギ Siphonostegia chinensis  Benth.
  里山・草地の植物 ゴマノハグサ科 ヒキヨモギ属
Fig.1 (兵庫県三木市・溜池土堤 2011.8/6)
丘陵〜低山、里山の日当たりよい草地に生育する1年草。
茎は直立し、上部がやや分枝して高さ30〜70cmになり、全体に曲がった短毛が密に生える。
葉は卵形で、長さ1.5〜5cm、幅1〜3cm、3片ほどの広線形の裂片に分かれ、下方の裂片はさらに少数の裂片に分かれる。
葉面の特に裏面の脈上には曲がった短毛が生える。
花は枝先の葉腋に1花ずつつく。萼は細い筒形で、曲がった短毛が生え、花期に長さ11〜17mm、裂片は卵状長楕円形でとがり、長さ4〜5mm。
花冠は鮮黄色で長さ2.8cm、上唇の先は細くなり、先端は2裂する。葯室は両端がややとがる。
刮ハは狭長楕円形で長さ14〜17mm、幅3mm。

近縁種 : オオヒキヨモギ

■分布:南千島、北海道、本州、四国、九州、沖縄 ・ 朝鮮半島、台湾、中国
■生育環境:丘陵〜低山、里山の日当たりよい草地など。
■花期:8〜9月


Fig.2 茎は直立し、上部がやや分枝する。(兵庫県三木市・溜池土堤 2011.8/6)

Fig.3 茎には曲がった短毛が密に生える。(兵庫県三木市・溜池土堤 2011.8/6)

Fig.4 葉。(兵庫県三木市・溜池土堤 2011.8/6)
  葉は茎下部では対生し、卵形で、3片ほどの広線形の裂片に分かれ、下方の裂片はさらに少数の裂片に分かれる。

Fig.5 茎上部につく花。(兵庫県三木市・溜池土堤 2011.8/6)
  花は上部の互生する葉の葉腋に1個ずつつき、少数の花が長期にわたって順に開花する。

Fig.6 萼と花冠。(兵庫県三木市・溜池土堤 2011.8/6)
  萼は細い筒形で、曲がった短毛が生え、花期に長さ11〜17mm、裂片は卵状長楕円形でとがり、長さ4〜5mm。
  花冠は唇形、鮮黄色で長さ2.8cm、上唇の先は細くなり、先端は2裂する。

Fig.7 ときに草体は強く赤紫色を帯びる。(兵庫県三木市・溜池土堤 2011.8/6)

Fig.8 果実形成期。(兵庫県加西市・溜池土堤 2011.9/11)
  刮ハは宿存する萼筒に包まれて熟す。

Fig.9 萼筒を切り開くと刮ハが現れる。(兵庫県加西市・溜池土堤 2011.9/11)
  刮ハは狭長楕円形で長さ14〜17mm、幅3mm。

Fig.10 2裂した刮ハとこぼれた種子。(兵庫県加西市・溜池土堤 2011.9/11)

Fig.11 種子。(兵庫県加西市・溜池土堤 2011.9/11)
  種子は倒卵形〜広楕円形、淡黄褐色、長さ0.6〜0.8mm、表面には横長の6角形の格子紋がある。

生育環境と生態
Fig.12 溜池土堤に群生するヒキヨモギ。(兵庫県三木市・溜池土堤 2011.8/6)
ヒキヨモギは草刈管理される比較的自然度の高い草地に生育し、ときに群生する。
半寄生植物とされるが、ここでは矮小化したネザサ群落がよく発達しており、おそらく宿主はネザサなのだろう。
この土堤にはワレモコウ、ツリガネニンジン、ヒナギキョウ、ウシクサなどの生育が見られた。


最終更新日:26th.Sept.2011

<<<戻る TOPページ