ヒナノウスツボ		Scrophularia duplicatoserrata 　(Miq.) Makino
山地・林床の植物		ゴマノハグサ科 ゴマノハグサ属

Fig.1　（兵庫県香美町・細流脇　2015.8/2） 山地のやや湿った林床に生育する多年草。地下茎は肥大し、細い根を出す。 茎はやや軟弱で無毛、高さ40〜100cm、やや角ばった4稜がある。 葉は対生し、長さ1〜3cmのやや翼のある柄があり、葉身は卵状長楕円形で尖った重鋸歯があり、長さ6〜11cm、幅3〜5cm。 花は茎頂の円錐花序につき、まばらに多くの花を開く。花柄は細長く腺毛が散生する。 萼は5片に深裂し、裂片は卵形または披針形でとがる。花冠は暗赤紫色、長さ7〜9mm。 仮雄蕊は横に広い長楕円形。雌性先熟で、花が開くと雌蕊が先に伸び出し、受粉後に下垂し、後に雄蕊が伸びて葯が開く。 �刮ﾊは球形で長さ6〜7mm、幅5〜6mm。 サツキヒナノウスツボ（S. musashiensis）は4〜5月に開花し、花序は葉腋から出て1〜3個の花をつける。花冠の長さ7〜9mm。 オオヒナノウスツボ（S. kakudensis）は茎や葉は強壮で、茎の稜は目立たず、葉はやや厚い洋紙質。花序軸はほぼ無毛。向陽地に生える。 ゴマノハグサ（S. buergeriana）は花序が穂状に見え、花は黄緑色で、長さ5〜6mm。�刮ﾊは長さ約5mmで、卵形。 近縁種　：　サツキヒナノウスツボ、 オオヒナノウスツボ、 ゴマノハグサ ■分布：本州（関東以西）、四国、九州 ■生育環境：山地のやや湿った林床など。 ■花期：7〜9月

↑Fig.2　茎。（兵庫県香美町・細流脇　2015.8/2） 　 茎はやや軟弱で無毛、やや角ばった4稜がある。葉は対生する。

↑Fig.3　葉。（兵庫県香美町・細流脇　2015.8/2） 　 葉は長さ1〜3cmのやや翼のある柄があり、葉身は卵状長楕円形で尖った重鋸歯があり、長さ6〜11cm、幅3〜5cm。

↑Fig.4　花序。（兵庫県香美町・細流脇　2015.8/2） 　 花序は円錐花序で、まばらに多くの花をつける。

↑Fig.5　花序軸や花梗には腺毛が多い。（兵庫県香美町・細流脇　2015.8/2）

↑Fig.6　花冠。（兵庫県香美町・細流脇　2015.8/2） 　 萼は5片に深裂し、裂片は卵形または披針形でとがる。花冠は暗赤紫色、長さ7〜9mm。 　 雌性先熟で、花が開くと雌蕊が先に伸び出し、受粉後に下垂し、後に雄蕊が伸びて葯が開く。

↑Fig.7　果実期。（兵庫県香美町・細流脇　2015.10/30）

↑Fig.8　果実。（兵庫県香美町・細流脇　2015.10/30） 　 �刮ﾊは球形で長さ6〜7mm、幅5〜6mm、熟すと先が2裂する。

↑Fig.9　種子。（兵庫県香美町・細流脇　2015.10/30） 　 種子は楕円形、黒色、長さ0.6〜0.7mm、背面（背軸側）に数本の太い隆条がある。

生育環境と生態

Fig.10　温帯林下の細流脇に生育するヒナノウスツボ。（兵庫県香美町・細流脇　2015.8/2） ブナ、トチノキ、ホオノキなどが生育する温帯林の林床細流脇にヒナノウスツボが点在していた。 多くの場所はチシマザサが優占するが、細流脇の急斜面や岩上には豊富な植生がみられた。 同所的にカンスゲ、ヌカボシソウ、サンインネコノメ、マルバネコノメソウ、ウワバミソウ、ヤマアジサイ、クサアジサイ、ギンバイソウ、 サンカヨウ、イケマ、タニタデ、ミズタビラコ、ミゾホオズキ、ソバナ、オオモミジガサ、タイミンガサ、モミジガサ、オタカラコウ、 リョウメンシダ、ジュウモンジシダ、ミゾシダ、シケシダ、キヨタキシダ、ヒロハイヌワラビ、ウスゲミヤマシケシダなどが生育していた。

最終更新日：4th.Sep.2016

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